ルネサス エレクトロニクスとカナダBlackBerryは10月23日、ルネサスの車載用SoC(System on Chip)「R-Car」向け仮想化ソフトウェアパッケージ用に仮想化・機能安全・セキュリティのソフトウェア開発環境の提供を開始すると発表した。

同ツールは、両社がBlackBerryのQNXソフトウェアを用いながら、コネクテッドカーに向けた車載情報システムの分野で継続的に協業してきた成果でもある。ルネサスのR-Carと、BlackBerry QNXソフトウェア開発プラットフォームのSDP 7.0、およびBlackBerry QNX ハイパーバイザー2.0をベースにしており、高い信頼性とコクピットシステムに必要なグラフィックス性能を両立する。特にBlackBerryのマルチメディアやHMIに関する豊富なソフトウェア群を、コクピットのグラフィクス開発に使用できるようになるため、ユーザーはユーザエクスペリエンスを向上するコクピットシステムを早期に開発可能となる。

また、同ツールは、R-Carのハードウェアが持つ仮想化機能を最大限に活用。このため、機能安全と高度なセキュリティをR-Car上で両立可能で、クラスタやカーナビ、ディスプレイオーディオなどのシステムをR-Car上で各々独立して動かすことができる。BlackBerry QNXハイパーバイザー2.0上のゲストOSは、Android、Linux、AUTOSARをはじめとするRTOS(Real Time Operating System)に対応し、複数のゲストOSで、ディスプレイを安全に共有することも可能となっている。

  • R-Car向け開発環境

    ルネサスとBlackBerryのR-Car向けソフトウェア開発環境

現在、こうした開発環境は、輸送を最適化するConnected Transportationに向けて開発スピードの速さを求める中国などの市場から、特にニーズが高まっており、両社は共に、Tier1や自動車メーカーに積極的に提案していく方針。さらに統合コクピットシステムやコネクテッドカー開発を加速し、ADAS(高度運転支援システム)向けソフトウェア開発やECU(電子制御ユニット)の本格的な統合化に向けて、協業を強化していくという。