OKIは10月24日、機械学習アルゴリズムを用いた波形解析ソフトウェアライブラリ「ForeWave(フォアウェーブ)」の販売を開始した。

これまで、さまざまな設備状態を把握するため、高速フーリエ変換(FFT:単位時間あたりの時系列信号を、高速で周波数成分に変換する符号化アルゴリズム)やウェーブレット変換(時系列信号を、周波数成分に変換する符号化アルゴリズムで、時間的変化も同時に抽出できるアルゴリズム)などの振動解析手法が用いられていたという。

これらの振動解析手法では、複数の異常が一度に発生するような複雑な状態認識への対応が困難で、このような場合は、人の耳による官能検査(人間の感覚を用いて製品の品質を判定する検査)を用いることもあったが、官能検査では熟練技術者の勘や経験に頼るところが多く、これらの技術継承に困難が伴うことが課題となっていた。

同ライブラリは、振動を波形として捉えて解析するものとなり、従来の機械学習と比較して、約20倍(同社比)の高速な波形解析パフォーマンスを実現したという。製造業の工場設備や、鉄道旅客業の鉄道設備など、さまざまな振動解析シーンで、設備保全などの課題解決に貢献するとしている。

  • 「ForeWave」のアルゴリズム概要

    「ForeWave」のアルゴリズム概要

また、機械学習とNMF(非負値行列因子分解。非負値のデータを加法的な構成成分に分解するための多変量解析手法)の組み合わせ(特許出願中)を採用し、熟練技術者による官能検査のように、あらかじめ学習させた正常時の振動データと新たに計測される振動データを比較し、異常が発生しているかどうかの判別を行う。

これにより、設備から収集される振動データを、共通成分と特徴成分に自動で分解し、特徴成分のみを機械学習により複雑な設備状態の検知および高速な波形解析パフォーマンスを実現するという。

さらに、多様なアプリケーションに組み込みが可能なソフトウェアライブラリとして提供し、要件に応じたアプリケーションから呼び出し、選定した振動センサを含む各種ハードウェアと組み合わせて利用することを可能としている。同社では、同ライブラリを組み込んだアプリケーションやシステム構築、設備への適用条件および精度を検証するモデル生成サービス、システム導入後の運用支援など、システム導入ステップに合わせて支援する。

モデル生成サービス(実証実験)、コアライブラリ、運用支援キットの価格はいずれも個別見積もりとなり、提供開始は来年1月31日を予定している。