セールスフォース・ドットコムは10月23日、クラウド型SFA/CRM「Sales Cloud」にインサイドセールス向けの新機能「High Velocity Sales」を追加し、同社のAI技術「Einstein」と次世代UI「Lightning」に対応したマーケティングオートメーションツール「Pardot」を提供すると発表した。
マーケティング本部 プロダクトマーケティング ディレクターの田崎純一郎氏は、「買う側の立場である企業の購買担当者は、営業プロセスがつながっていることを重視している。しかし、われわれの調査では、日本の企業はマーケティングオートメーション向けのシステム、インサイドセールス向けのシステムの導入が進んでいないという結果が出ている。そこで今回、マーケティングからセールスまでのプロセスをつなげる機能をリリースした」と説明した。
米国の調査にはなるが、2008年はフィールドセールスとインサイドセールスに費やされる時間は同じだったが、10年経った現在、フィールドセールスに費やされる時間は10分の3に減り、インサイドセールスに費やされる時間は1.8倍に増えたという。国内でも、インサイドセールスを強化している企業は増えている。
「High Velocity Sales」は、見込み客の特定を最適化する「Sales Cadences」と「Work Queues」という機能を備えており、2019年2月に一般提供が開始される予定だ。
「Sales Cadences」は、マネージャーがセールスチームのために、メールと電話を中心とした営業活動の手順を作成する機能だ。コールスクリプトやメールテンプレートを提供するほか、見込み客にメールを送信したり、電話をかけたりするタイミングを促す。
「Work Queues」は、「Sales Cadences」で定義したメール、電話、タスクの優先順位のリストとなり、メール送信や架電をダイレクトに行う。機械学習を用いて、商談にコンバートできる確率が最も高いリードを自動的に分析するSales CadencesとEinstein Lead Scoringから得たインサイトに基づき、インサイドセールス担当者が講じるべき次のステップを正確に把握できるようにする。
一方、「Pardot」においてはLightningとEinsteinに対応することで、セールスチームとマーケティングチームが、単一のプラットフォーム上で密接に連携し、同一のデータセット、キャンペーンのインサイト、顧客エンゲージメントの履歴を活用することを実現する。
新機能の「Einstein Campaign Insights」は、見込み客の購入意思がどの程度かを把握することを可能にする。具体的には、機械学習により、コンテンツとタイトルのエンゲージメントに基づいて、最も効果的なマーケティングキャンペーンを特定する。
また、「Einstein Behavior Scoring」は、エンゲージメント行動に基づいて、コンバージョンの確度が最も高そうな見込み客を特定する。具体的には、EinsteinがPardot内のエンゲージメント履歴を活用し、顧客によるWebサイトやメールキャンペーンとの反応に基づき、顧客にコンバージョンする確率が最も高い見込み客を判定する。
Lightningの対応は2018年10月に一般提供が開始され、Einstein Campaign InsightsおよびEinstein Behavior Scoringは現在パイロット版が提供されており、2019年2月に一般提供が開始される予定。