ダイキン工業(以下、ダイキン)と日立製作所(以下、日立)は12日、IoTを活用した協創の第2弾として、化学品製造工程の反応プロセスの品質管理ノウハウのデジタル化に向けた共同実証を10月から開始すると発表した。

  • 化学品反応プロセスの解析・デジタル化の全体イメージ

    化学品反応プロセスの解析・デジタル化の全体イメージ

ダイキンと日立は、先進のIoTを用いて次世代生産モデルの実現に向けた協創を行い、その第1弾として、空調機の製造工程において高い熟練性が求められるろう付け作業 をデジタル化し評価・解析する「ろう付け技能訓練支援システム」を開発し、ダイキンの滋賀製作所において2017年10月から運用開始している。

また、協創の第2弾として、日立の画像解析技術をダイキン淀川製作所におけるフッ素化学品の製造工程における反応プロセスにも適用し、品質管理ノウハウのデジタル化に向けた検証を行ってきた。具体的には、センサーやカメラを用いて人、設備、材料、方法の観点で化学品の反応状態や、装置の動作の時系列の数値・画像データを収集した。

液色や泡、攪拌状態の画像データを数値情報に置き換えて品質との相関性を解析した結果、従来の目視確認では把握できなかった、完成品の品質を左右する定量的な判断基準を確立でき、不良率低減、生産性向上の見通しが得られたことから、今回、フッ素化学品の製造工程における共同実証に着手することになったという。

共同実証では、ダイキンの淀川製作所(大阪府摂津市)内のフッ素化学品製造工程の反応プロセスに、作業者に異常発生や適切な操作タイミングなどをタイムリーに伝えることができるシステムを導入する。装置の動作状態などに加え、液体の発泡状況や色の変化などの反応状態を日立のLumadaの画像解析技術を用いてデジタル化し、リアルタイムかつ連続のデータとして収集・解析することで、化学反応状況の見える化を可能にし、今後の品質管理の安定化と作業効率改善の実現を目指すという。

将来的には、新たに監視すべき要因の追加や人の判断ロジックの更なる解析を通じて、熟練技術者が持っている製造ノウハウのデジタル化と新たな製造手法の構築につなげていくとしている。

  • 化学品反応プロセスでの共同実証を行うダイキン淀川製作所

    化学品反応プロセスでの共同実証を行うダイキン淀川製作所

両社は、この実証で得た成果をベースに、化学品反応プロセスの反応状態評価・解析システムを確立し、さらなる品質改善や生産性向上、熟練技術者のノウハウのデジタル化につなげていくという。また、日立は、同実証で用いるLumadaの画像解析技術を、国内外の化学分野に加え、食品や医薬などの製造業向けにも積極的に展開していく構えだ。