富士通は10月12日、アジャイル開発手法などを用いて、新たなサービスや事業を顧客とともに開発する施設「FUJITSU Agile Lab」を東京都大田区の富士通ソリューションスクエアにおいて開所した。
ラボは5月に発表したPivotal ジャパンとのパートナーシップ契約「Pivotal Ready Partner Program」に基づくもので、同プログラムは富士通の「FUJITSU Knowledge Integration」を具体化する取り組み。
メンバー間の密な交流を行う「コミュニケーションエリア」、プロダクトを進めるすべての作業を行う「プロダクションエリア」、会議を行う「ミーティングエリア」で構成しているほか、キッチンや息抜きのための卓球台を備える。特徴としてはアジャイルに適した仕組み・環境を完備し、アジャイルの開発基盤による継続的なインテグレーションとデリバリーを実施。
富士通 デジタルフロントビジネスグループ エグゼクティブアーキテクト中村記章氏は、ラボに関して「コンセプトは『Make the best team and the best future(最高のチームと最高の未来を作る場所)』だ。顧客が抱えるビジネス環境変化への対応力を強化したい、新しい価値をいち早く形にして市場に投入したい、というニーズに対し、リーンスタートアップ(仮説・構築・検証・修正を迅速に繰り返し、素早く改良を続けていく事業開発手法)&アジャイル開発を鍵に顧客のデジタル変革を支援する」と述べた。
同社では、ラボを顧客のアジャイル開発体制を立ち上げ、拡大・組織化を中期的に支援し、共同実践する場としての位置づけている。具体的には顧客の組織にアジャイル開発を根付かせ、環境変化に強い体質への変革を支援する。
まずは、富士通と顧客企業が合同で5~10人程度のチームを立ち上げ、でアジャイルに関する知見を取得し、意識を変えつつ現代に相応しいビジネスを展開する組織に発展させる。
次のステップは、チームを2~10、人員を10~100人に拡大し、同社はオンサイト支援、アジャイルスペシャリストを供給する。そして、最終的には組織そのものをアジャイル化し、ビジネスと開発体制を直結することで変革していく。
また、ラボの支援スタイルは同社のエンジニアと顧客が一体となり、「Pivotal Labs」のエッセンスを注入したエンゲージメントサービス(共創型開発体験)での実践を通じ、マインド変革・チーム作りを支援。
エンゲージメントサービスの開発アプローチとしては、リーンスタートアップ、エクストリームプログラミング、デザイン思考を軸に置きながら、仮設・実装・検証を繰り返すことで、ビジネスゴールを達成するために必要なアプリケーションを見極めつつ、開発していく。。
中村氏は、ラボの意義について「顧客と新たな関係を構築し、従来の受託型の開発モデルではなく、顧客と対等の立場で目的・リスクを共有しながら開発に取り組み、価値を最大化する。また、人材面ではアジャイルスペシャリスト認定制度を社内でスタートしており、アジャイル人材コミュニティを形成し、知見を高める。さらに、蓄積した知見をデジタル変革に活かすために富士通グループ、パートナーと共有し、新たなビジネススタイルを構築していく」と強調した。
そして、富士通 執行役員常務の木脇秀己氏は「顧客とのエンゲージメントとデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速をこの場を通じて推進していく。アジャイル開発はソフトウェアだけでなく、人・企業文化も変革できる。今後、ラボを活用しつつ、DXだけではなく既存ビジネスであるSIの両輪でコストダウンを図り、新しいDXの道のりを歩む」と力を込めていた。