2016年にそれまでの最先端IT・エレクトロニクス総合展という立ち位置から、CPS/IoTの総合展へと改革の舵を切った「CAETEC JAPAN」。2018年10月16日~19日にかけて開催される「CEATEC JAPAN 2018」は、新生CEATEC JAPANとして変革の3年目、そして2019年に20周年を迎える前の年、というある意味、節目とも言える立ち位置にあるといえるだろう。
そんなCEATEC JAPANは本当にCPS/IoTの総合展という方向性のもと、変化を遂げているのか。現在のCEATEC JAPANのキーマンとも言えるCEATEC JAPAN実施協議会でエグゼクティブプロデューサーを務める鹿野清氏に話を聞いた。
変革の道を歩み続けてきた3年間
--変革が打ち出されて以降、主催側もさることながら、出展者側も、手探りながら、変わっていこう、という姿勢が見える展示が年を追うごとに増えてきた印象があります。
鹿野氏:2016年開催の「CEATEC JAPAN 2016」を機に、主催者側を含めて、いろいろとメッセージを発してきました。タイミングとして、政府の方から、未来社会に向かわないといけない、ということで「Society(ソサエティー)5.0」が掲げられ、2017年に経団連が呼応する形で、会員企業への浸透を進めた、という動きと相まって、ステップアップができてきたのだと考えています。
そういった意味では確実に階段を上ってこれたと思いますが、展示会全体として、将来の日本の社会が豊かになるとか、生産性を向上させていく、といった課題解決に向けた具体的な姿を見せられたか、というと、過去の2年間は、その途上でした。3年目の今回は、CPS/IoTの総合展としての象徴的な企画である「IoTタウン」だけでなく、すべての出展者を含めた来場者が、同じ方向に向かっていることをコンファレンス含めて、感じられる1つの集大成になると思っています。
そうした点からも、今年は、この3年の間、目指してきた方向性が間違っていなかったかどうかの確認の年ともいえます。もし、間違っていた、となれば、勇気を持って修正を実行する必要性もありますが、幸いにも、間違っていないという感触を、出展登録やコンファレンスの拡充具合を見ていると持てるようになってきました。
お堅く言えば「Society 5.0のショーケース」とも言われていますが、その一方で、BtoBの展示会として認識されるようにもなってきたと受け止めています。ただし、CEATEC JAPANとしては、BtoBの先にあるBtoCの存在も忘れていません。いわゆるBtoBtoCで、産業界の取り組みの先にあるコンシューマを重視するべきであるという考えです。というのも、一般家庭の多くが、本当にAIやIoT、ビッグデータといった技術を使うと、何が変わってくるのか、という実感を持てていないのが実情だと思います。それらの技術が、自分たちの生活環境の背後で、どのように利活用されてきたのか、ということに気づきを与えられるのがCEATEC JAPANという場所であり、それは一般の人たちのみならず、そうした取り組みを見た、周辺の企業にも同じことが言えるのだと思っています。
2016年以降、"共創(共に創る)"という言葉を大切にしてきました。来場者と出展者、出展者と出展者、そうしたさまざまな"つながる"場を作り上げ、そこから新たなビジネスチャンスを生み出すのが、今のCEATEC JAPANのテーマの1つといえます。