日本マイクロソフトは10月4日、公共機関におけるクラウドサービスの導入・移行・利用促進に向けた支援プログラム「マイクロソフト 公共機関向けクラウド利用促進プログラム」を開始した。
同プログラムは、マイクロソフトの法人向けクラウドサービス「Microsoft Azure」「Microsoft 365」「Dynamics 365」 を、パートナー企業による多種多様なソリューションや導入支援サービスとともに、公共機関の顧客に提供し、支援活動を実施するもの。
同プログラムが提供される背景には、政府が今年6月に発表した「クラウド・バイ・デフォルト原則」がある。これは、「政府情報システムは、クラウドサービスの利用を第一候補として、その検討を行うもの」という方針だ。同原則に基づき、クラウドサービスの利用を検討する際、プライベートクラウドよりもパブリッククラウドを先に検討し、コストや条件に応じて評価することが求められている。つまり、公共機関でシステムを構築する際は、クラウドサービスを検討することが明文化されている。
そうした中、公共機関は同支援プログラムにより、適切な技術情報を入手し、同社およびパートナー企業から早期導入支援を受けることで、セキュリティや移行リスクへの不安を払拭して、クラウドサービスへの移行・活用を実現できるという。
執行役員 常務 パブリックセクター事業本部長の佐藤知成氏は、同社の目指す新たな企業像は「革新的で、安心して使ってもらえるインテリジェントテクノロジーを通して、日本の社会変革に貢献する」と説明した上で、人の一生に寄り添うサービスを提供する公共機関と同様に、同社も人の一生に寄り添う取り組みを行っていることを紹介した。
佐藤氏は、公共機関におけるクラウドサービスの導入は、日本よりも海外のほうが進んでいるが、Microsoft Cloudの海外の公共機関における導入事例は豊富であり、その調査も進んでいることから、日本でも公共機関のクラウド導入を支援する準備は整っているとアピールした。
プログラムの詳細については、業務執行役員 パブリックセクター副事業本部長の光延裕司氏が説明した。同プログラムは、政府・行政機関、ヘルスケア、教育機関の3つの分野別に構成されているが、ヘルスケアと教育機関に関するプログラムは既に発表されている。今回の発表の骨子は、政府・行政機関を対象としたプログラムになる。
政府・行政機関向けには、3つの分野共通の「公共機関およびパートナー企業向け人材育成プログラム」「公共機関向け災害対策支援」と、個別のプログラム「ガバメントクラウド早期導入支援」「クラウドエキスパート」「パートナーソリューション」が提供される。
「公共機関およびパートナー企業向け人材育成プログラム」においては、「パブリッククラウド活用トレーニング」「Paas/IaaSハンズオン」「AI/IoT活用トレーニング」が実施される。
同プログラムは、2020年までに4万名の公共機関とパートナー企業に提供することが目標となっているが、英国での同様の取り組みの3年間3万名を上回る値となっている。
「公共機関向け災害対策支援」においては、東日本大震災や熊本地震などで被災した地域の支援活動を通してえたノウハウをもとに、現在進行中の取り組みを紹介する災害対策セミナー、Office 365を利用した情報連携を実際に体験いただくワークショップを開催する。加えて、47都道府県と災害対策支援に関する協定の締結を進めていく。
「クラウド早期導入支援」では、同社社員が出向き、クラウドサービスの早期導入を希望する公共機関に対し、クラウド導入の目的・利用イメージをより明確にし、将来の課題解決ビジョンの作成を支援するためのデザインシンキング、実証実験への支援などを無償で提供する。
光延氏は「公共機関におけるクラウドの導入だけを支援するのではなく、サービスデザインによって、既存のプロセスの見直しまで取り組んでいきたい」と語った。
「クラウドエキスパート」は、同社内で、「クラウド・バイ・デフォルト原則」のガイドラインに準拠したクラウド検証、提案シナリオやスキルを身に付けた公共機関向けのクラウドエキスパートを200名育成するというものだ。
「パートナーソリューション」は、パートナー企業と共同で公共機関向けのソリューションを開発・提供するというものだ。今後1年間で、政府・自治体、病院、教育機関(教員)における働き方や、住民支援サービスなどm200のパートナーソリューションを開発することを目標としている。