シスコシステムズは10月4日、2018年7月30日付けで代表執行役員 社長に就任したデイヴ・ウェスト氏が、同社の2019年度事業戦略を説明した。同氏はこの中で、「セキュリティがすべての核になる」と述べ、セキュリティに注力する姿勢を鮮明にした。
デイヴ・ウェスト氏はシスコに18年在籍し、直近では、エンタープライズ ネットワーク事業のグローバルセールスを統括した。それ以前は、アジアパシフィック アンド ジャパン地域の最高技術責任者 (CTO) およびエンタープライズ ネットワーク、データセンター、セキュリティ、コラボレーションをまとめるアーキテクチャ リーダーを務めている。
昨年、前社長の鈴木みゆき氏は、2018年度の戦略として、「日本のデジタル変革を加速」「次世代プラットフォームの構築」「日本市場により根ざした事業展開」の3つを挙げた。
デイヴ・ウェスト氏はこれら戦略に基づく2018年度の実績について「すばらしい結果で、中堅中小、SMBで9四半期連続で成長している。われわれは日本のデジタル変革を支援しており、ファナックや横河など累計で10のIoTソリューションを提供している。また、京都市や日本橋といった新規のスマートシテイの実証事業2件に着手している。そのほか、次世代プラットフォームとして、セガサミーのインテントベースプラットフォームの大規模案件を獲得している」と成果をアピールした。
同氏が次に言及したのは、2019年の戦略を考える上で考慮すべき、顧客を取り巻く環境について。同氏が取り上げのは、トランプ政権による関税圧力の問題、クラウドへの移行の加速、労働人口不足、2020年のオリンピック・パラリンピックへの期待、IoT/AIによるデータ活用、5Gへの移行、セキュリティ脅威など。
「製造業ではどこで製造するのか、どこから調達するのかを考える時期に来ており、労働人口の不足を補うため労働生産性の向上、シニアのスキルの見直し、女性活用、障害者など労働者の多様化の課題もある。また、製造業ではデータ活用(IoT/AI)が加速化しており、アナリティクスによって意思決定をしている。5Gによる帯域幅の拡大もあり、今後はすべてがつながる世界になり、セキュリティがもっとも重要な要素になる」(デイヴ・ウェスト氏)
その上で同氏は、2019年度の戦略として「お客様、パートナー、社会とともにデジタルイノベーションを協創」を掲げた。
同氏は、「共創するためにはプラットフォームが必要だ、それによってビジネスにより迅速に対応できる」として、マルチクラウドな世界の実現、新しい時代のネットワークの構築、データの力の開放、基盤としてのセキュリティの提供、価値あるエクスペリエンスの創造を5つの戦略の柱として挙げた。
そして「クラウドでは、クラウドへの移行だけでなく、クラウドの連携やクラウド接続もサポートしていく。新しいネットワークでは、これまでCisco DNAによってネットワークを構築してきたが、今後はこれにモビリティを付加していく。また、ネットワークのソフトウェアへの移行を進めており、それによって自動化、連携を行い、ポリシーを全体に適用させていく。データでは、リッチな知見をみんなが求めており、アプリケーションの最適化、可視化も行っていく。セキィリティについては、ネットワークのすべての基本がセキュリティであり、すべての製品に組み込んでいく。エクスペリエンスの創造では、働き方改革において、コラボレーションのエクスペリエンスをWebexを通してどう向上させていくかを考えていく。そして、これら5つは統合した形で提供していく。それによってデジタル化の旅路を成功に導くことができる」(デイヴ・ウェスト氏)