IDC Japanは10月1日、国内パブリッククラウドサービス市場予測を発表した。これによると、2018年の国内パブリッククラウドサービス市場規模は前年比27.4%増の6,663億円を見込んでおり、2017年~2022年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は22.9%で推移し、2022年の市場規模は同2.8倍の1兆4655億円を予測している。

  • 国内パブリッククラウドサービス市場 売上額予測、2017年~2022年

    国内パブリッククラウドサービス市場 売上額予測、2017年~2022年

国内IT市場では「クラウドファースト」から「パブリッククラウドファースト」へと、パブリッククラウドサービスを重要視する企業が増加している。背景としては、パブリッククラウドサービスの「セキュリティ」に対する漠然とした懸念が解消されるとともに、運用サービスを付加したマネージドパブリッククラウドサービスを提供するベンダーが増加したことが挙げられるという。

現在の国内パブリッククラウドサービス市場は、従来型ITからクラウドへの移行が堅調に進んでおり、高い成長を遂げていることに加え、今後も同様の傾向は継続し、国内パブリッククラウドサービス市場の成長を支える重要な要因になっていると指摘。

また、国内IT市場において、デジタルトランスフォーメーション(DX)が高い注目を集めており、DXアプリケーションは、その開発に業務担当者の関与が必須であると同時に、優れた拡張性/柔軟性/連携性と短いサイクルでのリリースが重要となっている。

そのため「DevOps」や「Low Code/No Code(高度なプログラミング/コーディングなどを行わずに、アプリケーション開発を行うこと)」に対する注目も高まっている。さらに、IoTやAI(人工知能)といった新しい技術を活用したソリューションの開発が進み、これらの技術やソリューションは「クラウドネイティブアーキテクチャ」を核として発展し、今後の国内パブリッククラウドサービス市場の成長を促進する大きな要因になるという。

国内IT市場では、2015年にクラウドネイティブアーキテクチャに関わる技術体系などの整理が進んだが、クラウドネイティブはアプリケーションアーキテクチャの変革や、DevOpsといった新しいアプリケーション開発手法が求められることから普及には時間を要している。

同社のITサービス リサーチディレクターである松本聡氏は「現在、クラウドネイティブに適したパブリッククラウドPaaSが著しく発展している。同PaaSの発展がDXアプリケーションの開発を促進し、新しいIT市場を開拓する重要な役割を果たしている」と、述べている。