ゼブラ・テクノロジーズは9月20日、製造・物流・小売業を対象に商品の在庫管理、受注から配送までの一連の流れ、フルフィルメントの今後の展望に焦点を当てた意識・実態調査レポート「フルフィルメントに関する展望調査」を発行した。
エッジのデジタル化で変わるビジネスの現場
同レポートの発行に際し、ゼブラ・テクノロジーズ・アジア・パシフィックのバイス・プレジデント兼ゼネラルマネジャーであるライアン・ゴー氏は、「ボタン1つを押すだけで、自動車を呼んだり、食品を購入したり、といったオンデマンドエコノミーに対する期待が消費者の間で高まっている」とし、そうしたビジネスにおいて、デジタル化が求められており、そしてそれは、従来型のERPなどの静的データとはまた異なるものであり、それを理解するためには「エッジ」の分野で何が起こっているかを理解する必要があるとし、IoTの進展の重要性を強調。さまざまな分野で仕事の効率を高めるIoTの技術活用が進められているとする。
こうしたエッジの情報を可視化することで、エッジからクラウドまでつながることが可能になり、それにより現場で何が起こっているかを知ることができ、それを分析することで、将来の予想を描くことが可能となり、適切な判断を下すことができるようになる。「予見をする、ということができれば、顧客が注文する前に、必要なものを送り届ける、ということも可能となる。ただし、実はもう次は要らない、ということも起こり、その場合は返品処理にどう対応するか、ということが課題となる。こうした課題を解決するものこそが、現場の作業者に対してデジタル化の恩恵を届けることだ」と、同氏は、どのような分野であっても、デジタル化による変革の必要性を感じていると述べた。
そうした市場背景を受けて、ゼブラは現在、ビジネスの最前線にエッジコンピューティングを提供する一方で、データプラットフォームやソフトウェア、サービスなども提供するエンドツーエンドのソリューションカンパニーへと変貌を遂げているとのことで、エンジニアが、顧客がどのような場所、状況、ワークフローで製品を使っているのかを理解することに時間をかけて製品の設計を行なう目的主導型の設計手法を採用するのと同時に、スマートな形で、データを活用する環境の構築にも注力しているという。
効率的な物流の実現を支えるIoT
今回発表されたフルフィルメントに関する展望調査は、オムニチャネルへの対応の実態、スピード配送や再配達への課題意識、オムニチャネルに対応した店舗改革の方向性などフルフィルメントを取り巻く課題や今後の展望を分析することを目的とし、製造、物流、小売業の企業においてオムニチャネルに関わる物流の計画、実行に関与する2,700人を超える企業幹部を対象に世界16か国(米国、カナダ、ブラジル、メキシコ、コロンビア、チリ、フランス、ドイツ、イギリス、イタリア、ロシア、スペイン、中国、インド、オーストラリア、ニュージーランド)で実施されたもの。
調査の結果、2028年には、RFIDを用いた在庫管理を実施する企業は2018年の33%から98%へと増加する一方で、未だペンと紙による手作業による非効率的なワークフローで物流を支えている企業が55%ほど存在していることも明らかに。ただし、そうした企業の多くが、オムニチャネル化実現のため、2021年までにバーコードスキャナを備えた携帯型モバイルコンピューターを導入するとの回答をしており、その割合は全体の94%に達したという。
また、フルフィルメント全体の課題としては、回答者の89%がeコマースの台頭で、より迅速な配達へのニーズが高まっていることへの懸念や、投資が増加すると回答しており、物流企業の39%は10年以内に2時間以内の配送を提供すると予想している。
このほか、61%が自動化によって業界に変化がもたらされていると見ていることも明らかになっており、同社では、そうした先端の技術に対する投資を継続して進めていくことで、サプライチェーンが抱える多くの課題の解決につながることが期待されるとしている。