東京工業大学は、極微小なナノ粒子中に多種の金属元素をさまざまな比率や組み合わせで配合できる「アトムハイブリッド法」を開発し、これを利用して5種類あるいは6種類の金属を配合した多元合金ナノ粒子の合成に初めて成功したと発表した。
同成果は、同大科学技術創成研究院の塚本孝政 特任助教、山元公寿 教授、神戸徹也 助教、今岡享稔 准教授と、理化学研究所の中尾愛子 専任研究員らの研究グループによるもの。詳細は、英科学雑誌「Nature Communications」に掲載された。
これまで、高機能材料の開発や新物質の発見につながるとの考えから、さまざまな金属元素を自在に混ぜ合わせることができる技術が研究されてきた。しかし従来の手法では、金属の種類が多いと、ナノ粒子中で異なる金属同士が分離してしまうなどの問題があり、最大で3種類までしか、均一な合金化には至っていなかった。
そこで研究グループは、金属同士の分離が起きないとされる、ナノ粒子よりも小さな極微小領域において、粒子の大きさや混合比率を精密に制御して合成するという技術の確立に目を向け、「アトムハイブリット法」を開発したという。
この技術を用いることで、粒径1ナノメートル程度の極微小なナノ粒子に対し、5種類以上の金属をさまざまな比率や組み合わせで自在に合金化できるようになるという。樹形型の規則構造を持つデンドリマーを鋳型として利用し、そこに多種多様な金属イオンを取り込み、その金属イオンを科学的に還元することで、多元合金ナノ粒子を合成するという仕組みだ。今回は5種類および6種類の金属を配合した合金ナノ粒子の合成が確認された。
研究グループは、この手法によって未知の物質群の発見や新分野の開拓が実現するとし、未知の物質群から新たな機能材料が創出されることが期待されるとしている。。