ベリタステクノロジーズは9月27日、エンタープライズ向けバックアップソフトウェア製品の最新版「Veritas NetBackup 8.1.2」を提供開始すると発表した。
冒頭、常務執行役員 テクノロジー&サービス本部 高井隆太氏は「バックアップソフトの説明会をわざわざ開くなんて思われるかもしれないが、NetBackupは当社にとって重要な製品であるため、最新版の機能について説明する場を設けた」と説明した。
同社は、マルチクラウド環境のデータ管理に関する課題を解決するビジョンとして「360度データ管理」を打ち出しているが、その柱の1つに「データ保護・活用」が含まれている。
「これまで企業のIT環境は物理サーバとデータセンターを中心としていたが、クラウドの利用が始まり、ハイブリッドクラウドを経て、今や企業のIT環境は複数のクラウドを併用するマルチクラウド環境にある。われわれは、マルチクラウド環境になっても、企業におけるデータの管理・アクセス・保護をサポートする」(高井氏)
「NetBackup 8.1.2」については、データ保護ソリューション シニアプリンシパルスペシャリストSEの勝野雅巳氏が説明を行った。勝野氏は、同製品の機能拡張のポイントとして「シンプル」「次世代ワークロードへの対応強化」「ユーザーエクスピリエンスの進化」「保護したデータの活用」の4点を挙げた。
「シンプル」は、従来のJavaベースのUIに加え、操作が容易なWebベースのUIの提供も開始したことで実現している。WebベースのUIはITに詳しくないエンドユーザーの操作を前提としている。WebベースのUIを提供した理由について、勝野氏は次のように語る。
「複雑なIT環境を対象とするため、これまでのバックアップソフトはエキスパートが運用管理を行う必要があった。しかし、これではエンドユーザーのデータ活用が進まない。エンドユーザーが自身のデータを活用できるよう、操作が容易なWebベースのUIを用意した」
WebベースのUIはダッシュボードも閲覧できるため、管理者がモバイルデバイスを用いて遠隔でバックアップ状況を確認するといった使い方も可能だ。
2つ目のポイントとなる「次世代ワークロード対応強化」としては、HBaseとAzure Stackに対応した。NetBackupでは、「HCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)」「ビッグデータ(関連のテクノロジー)」「オープンソース・データベース」「クラウド・インスタンス」を次世代ワークロードとしてサポートを進めている。
勝野氏は、NetBackupにおける次世代ワークロードへの対応の特徴として、フレームワーク「Parallel Streaming」を紹介した。このフレームワークにより、NetBackupサーバに各ワークロード用のプラグインをインストールすることで、ワークロードへの対応が実現される。そのため、ワークロード用のエージェントが不要であり、NetBackupのアップグレードも行う必要がない。
加えて、次世代ワークロードへの対応として、パブリッククラウド(AWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platform)のスナップショットを統合管理できるようになった。
「ユーザーエクスピリエンスの進化」としては、ベリタス製品の利用状況を一元管理できるツール「Veritas Smart Meter」が追加され、ServiceNowと連動して自動チケット発行や障害通知が行えるようになった。今後は、Service Nowなどの統合IT管理システムと連携して、APIによる自動回復やパッチ適用を行う機能の提供も予定している。
「保護したデータの活用」としては、前述のWebベースのUIを介して、ユーザーは自身でバックアップデータの起動・複製・活用が行えるようになる(管理者による権限の設定は必要)。この機能を活用するには、NetBackup Applianceが必要であり、NetBackup Appliance上で仮想マシンのコピーを行うので、バックアップデータを破壊することはない。
このバックアップデータの用途としては、開発・検証、データの参照・確認、コンプライアンス調査などが考えられる。
勝野氏は、今後の開発ロードマップとして、AIやマシンラーニングを活用した自動化を挙げた。自動化の対象は、最適化、分析、構成、修正、修復など、さまざまだが、まずはバックアップの自動分散の提供を予定しているという。