「データ仮想化」「Enterprise Data as a Service」という耳慣れない言葉をコンセプトに2009年に米国で創業したActifio(アクティフィオ)。今回、同社の共同創業者 製品開発担当副社長のデイヴィッド・チャン氏と、マーケティング最高責任者のブライアン・リーガン氏にインタビューの機会を得たので、その模様をお届けする。
同社はエンタープライズ向けの大規模データのバックアップ/DRとコピーデータマネジメントに強みを持ち、現在は37カ国で事業展開し、グローバルで3000社以上の企業に導入されている。
業務システムにおける本番データのバックアップは、多数のコピーデータを作成し、データ管理の煩雑さのほか、大量のコピーデータを保存するストレージ容量の関係で、管理・運用に手間がかかり、コストも圧迫するなどの問題があった。
これに対し同社は、特許技術であるVirtual Data Pipeline(VDP:仮想データパイプライン、ゴールデンコピー)により、1つのマスターコピーデータ(ゴールデンコピー)を作成することで、マスターコピーデータから作成する大量の仮想コピーデータが不要になり、データ活用の効率化を実現している。
1つのマスターコピーデータを仮想化すれば、管理・運用の負担を減少させることを可能とし、コストカットも図れるという。同社では単一のプラットフォームでデータを管理するものとしてEnterprise Data as a Serviceと位置づけている。
「データ仮想化」とは
--まずはじめに「データ仮想化」について教えてください。
チャン氏:仮想化ではVMwareが知られているが、最近ではSDN(Software Defined Network)の機能がある。
この2つの技術で共通しているのが、ハードウェアからのデータ抽出が異なるワークロードからできるほか、ハードウェア上で論理的なワークロードを持つことができる。われわれは同様の技術をデータで提供し、それによりユーザーは仮想化の技術で物理的な仮想コピーを持つことができ、活用・運用することを可能としている。
これにより、効率性、柔軟性、自由度も高くなり、アプリ開発が加速するとともにデータ保護が強化され、データにはいつでもアクセスできるようになる。
--データ仮想化技術のコアとなるVDPとは、どのようなものですか?
チャン氏:データ仮想化を支える技術であり、9年以上の開発期間、50件以上の特許を取得している。前提としているのは本番環境の時間を短縮し、永久増分によりアプリデータを本来のフォーマットのまま提供を可能としていることだ。
オラクル、SQL ServerなどのDBと統合されており、場所にかかわらず使える。拡張性が高いアーキテクチャであり、数TBに適した技術であり、オンプレミス、パブリッククラウドのデータにアクセスすることができる。
--最近では「データは石油だ」という言葉をよく耳にします。VDPはデータの用途により、使い分けもできるということですか?
リーガン氏:そういうことだ。だからこそ「パイプライン」と名づけており、異なるユーザー、異なる用途に活用できる。
チャン氏:われわれの技術が到来する前は多くの企業では、データを本番環境に置いていたが、本番環境にありながらもデータを活用することが難しく、データの重さや、アクセスできない、アクセスする際にコストがかかるなどの課題を抱えていた。
そのため、われわれは精製所となっているわけだ。顧客が重要な情報・資源であるデータをビジネスの多様な場面で活用できるように精製所の役割を担っている。
--2015年時点では、600社程のユーザーでした。3000社まで拡大した要因は、どのようなことが挙げられますか?
リーガン氏:第1にパートナー企業の存在が挙げられ、特にサービスプロバイダーのパートナーが新規顧客獲得のペースを上げた。2つ目は、われわれが対象としていた既存市場の中だけでなく、新規市場でもビジネスを拡大してきた。
これまでの実績では大手企業の獲得に成功しており、大企業が事例となることで、さらに多くの大企業を新規顧客として獲得することが可能になっている。