他のブラウザとはまったく違うVivaldi

Vivaldi Technologiesは9月26日(中央ヨーロッパ時間)、「The browser that puts you in control|Vivaldi」において、Vivaldiの最新版となる「Vivaldi 2.0」を公開した。どのブラウザとも違うブラウザを目指すVivaldiの最新版だ。Vivaldiが公開されてから初めてのメジャーアップグレードバージョンとなる。このバージョンに込められている想いを、Vivaldiの共同創業者にしてCOOを務める冨田龍起氏にうかがった。

ますます似ていく主要ブラウザのUIとUX。Vivaldi Technologiesは他社と同じものを作るなら自分たちが開発する意味はないと考えている。それでは、Vivaldiは何を指針にしてブラウザの開発をしているのだろうか。それは「ユーザの声」そのものだという。

  • Vivaldi 共同創業者 兼 COO 冨田龍起氏

    Vivaldi 共同創業者 兼 COO 冨田龍起氏

「Vivaldiを立ち上げてから今に至るまで、とにかく着実かつ地道に進化を続けてきた。ユーザーの声をひとつひとつ取り入れて進化すしていく――これがVivaldiのやり方。ユーザーの求める機能を愚直に実装していくことで、質もカスタマイズ性も高いブラウザを具現化してきた。これが2.0のリリースにつながったと思う」と、冨田氏はいう。

主要ブラウザを使っているユーザーであれば、Vivaldiのタブ機能に舌を巻くはずだ。Vivaldiのタブ機能はこれでもかというほどカスタマイズが可能で、配置も自在に変更できる。これに関して、冨田氏は「ユーザー目線で開発して、ほかのブラウザとは別のものを作りたいという想いが根底にあり、できるかぎりユーザーの声を反映させることに力を注いできた」とその想いを語る。ユーザーが求めるもの、それがVivaldiを作っている。

メールクライアントはどうなった?

Vivaldiといえば、Webブラウザとともにメールクライアントの開発にも取り組んでいるということが大きく注目された。主要ブラウザベンダーはWebブラウザからメーラを分離しており、メールクライアントはすでに大きな発展はない状態になっている。つまり、Webブラウザをネイティブアプリケーションのようにするといったアプローチはあるが、メールアプリケーションには抜本的な発展がない状況が続いている。次世代のメールアプリケーションを求めるユーザーはいるのに、それが供給されない状態だ。

そんなユーザーはもうちょっとの辛抱かもしれない。2018年の末、または来年まで待てば、状況が大きく好転するかもしれない。

「社内ではすでに開発中のメールクライアントを使っており、ソプラノと呼ばれるベータテスターもすでに使っている。ただし、まだ高速化のチューニングを実施している段階で、リリースできるまでにはクオリティが達していない。本当なら2.0のリリースに間に合わせればよかったけど、まだリリースはできない。今年中にはリリースできればという状況と考えていただければと思う」冨田氏。

メールクライアントの要望はユーザーから最も強いものだという。Webメールはあるが、メールアプリケーションそのものは進化が停滞している状態にある。メールクライアントはビジネスモデルが難しく、開発する会社が少ないという理由もある。この状況を打破するメールクライアントが、早ければ2018年内にリリースされる可能性がある。

拡張機能いらずでいじり倒せるトンガリっぷりが楽しい

Vivaldiは拡張機能に対応しているので、ChromeやFirefoxのように拡張機能で機能を増やすことができる。しかし、Vivaldiの本領は「拡張機能を入れなくてもすでに入っている」という点にある。初期状態で、拡張機能でインストールするような機能がすでに統合されており、あとはユーザーがひたすらいじり倒す状況になっている。

この方式の利点は「パフォーマンス」「セキュリティ」「プライバシー」にある。ストアに登録されている拡張機能にセキュリティ上の問題やプライバシーに関する問題が含まれていることは少なくない。拡張機能にマルウェアやアドウェアを混入させるのはもはや攻撃者にとってチャンネルの1つになっており、ストアからインストールしても安全とは言い難い状態にある。Vivaldiの場合はその点を心配しなくてよい。パフォーマンスの低下もない。安心していじり倒すことができる。

  • Vivaldiリーダービュー機能の縦書き機能 - ひたすらユーザの要望に応える

    Vivaldiリーダービュー機能の縦書き機能 - ひたすらユーザーの要望に応える

ユーザーが最もいじり倒す機能の1つがタブだという。自由度が高く調整が可能なタイリング表示や、スクリーンショット機能、メモ機能、クイックコマンド機能も人気の高い機能とされている。

筆者の利用例で恐縮だが、例えばWeb小説を読むのにVivaldiリーダービュー機能の縦書き表示を使っている。フォントを明朝にすると物理本を読んでいる感覚で読める。これはVivaldiならではの機能だし、このクオリティを実現した唯一のブラウザだ。使っていて楽しい、いじって楽しい、Vivaldiにはその面白さが色あせない魅力がある。