Nutanixは9月21日、都内でカンファレンス「Nutanix .NEXT on Tour 2018」を開催した。今回、「Imagine What's NEXT」と題した基調講演の模様をお届けする。

インフラ、DC、クラウドの存在を意識しない環境

まず、はじめに登壇したニュータニックス・ジャパン コーポレート マネージング ディレクター兼社長の町田栄作氏は「.NEXTはNutanixの冠イベントであり、グローバルで60カ所のエリアでツアーを行う。日本においては1回目の2015年に150人、2016年には530人、2017年に1024人、今年は事前登録が2565人に達した」と述べ、年を追うごとに参加者が拡大傾向にあることを示した。

  • ニュータニックス・ジャパン コーポレート マネージング ディレクター兼社長の町田栄作氏

    ニュータニックス・ジャパン コーポレート マネージング ディレクター兼社長の町田栄作氏

今年のテーマは「新たなマルチクラウドを創造するディスラプター」であり、従来の当たり前を新しい当たり前に変えていくことだという。同社ではインフラやデータセンター(DC)、クラウドの存在を意識することなく、アプリケーションやサービス対応に集中できるIT環境を提供することを目指している。

現在、グローバルにおいて導入企業は1万社超、従業員は4010人を抱える2017年には米国政府機関でのNutanixの導入において74%がAHVを選択したほか、直近4半期の全販売ノー度数では35%がAHVを選択し、日本では業種業態問わず600社以上が導入するなど、同社のビジネスが好調に推移していることをアピールしていた。

そして、町田氏は「これまでインフラとデータセンターを意識しない形で提供し、今後はクラウドを意識しない世界をEnterprise Cloud OSで実現していく。自由かつオープンであり、選択肢のあるコンピュートのプラットフォーム、クラウド、ハイパーバイザーをベンダーロックインから解放するということを企業の理念として標榜している」と、胸を張った。

  • インフラ、データセンター、クラウドを意識しない世界を実現していくという

    インフラ、データセンター、クラウドを意識しない世界を実現していくという

設計思想にMAYAを反映させた取り組み

これまで、音楽再生プレイヤーや電話、カメラ、GPSなど単一の機能を果たす多くのハードウェアデバイスが日々の生活で使用されてきた。近年ではスマートフォンをはじめ、複数のデバイスを融合し、ソフトウェア化する流れが形成されている。

米Nutanix 創立者 代表取締役会長兼CEOのディラージ・パンディ氏は「これにより、生活そのものがシンプルになった。ソフトや機能はアプリケーションで実現し、1つの経験を簡単に楽しみ、それをデリバリーすることが重要であると考えている」との認識を示す。

  • 米Nutanix 創立者 代表取締役会長兼CEOのディラージ・パンディ氏

    米Nutanix 創立者 代表取締役会長兼CEOのディラージ・パンディ氏

同氏は直近20年においてDCも様変わりし、ハードウェアは仕組みのうちの1つに過ぎないため、信頼できるソフトウェアを提供するとともに、ソフトウェアの機能を簡単に使えることが重要だという。

このような状況に対し、同社が提供しているのがマルチクラウド対応でアプリケーションオーケストレーションとライフサイクル管理を提供する「Nutanix Calm」と、クラウドサービス「Nutanix Xi Cloud Services」を搭載したソフトウェアスタックであるEnterprise Cloud OSだ。

これにより、ハードウェアを意識せずに利用できるようにしたほか、マシンを意識することなく、ITやガバナンス、アプリケーションなどを可視化し、IT管理者を煩雑な業務から解放することに取り組んできた。

パンディ氏は「われわれはMAYA(Most Advanced Yet Acceptable:最も先進的かつ受け入れられる)という設計思想を取り入れており、飛躍的に成長した。顧客はレガシーの環境に留まっており、そこから新しいクラウドにどのように誘導していくのかが重要だ。クラウドへの移行はシームレスであることが望ましく、われわれは実現できている」と、強調する。

同氏によると、プロダクトエンジニアは映画作成者の思考に移行すべきであり、イノベーションの核は「コンテンツ」となり、映画では豊かさや価値はコンテンツが生み出すため、プロダクトエンジニアは同様に考えるべきだという。また、コンテンツが素晴らしくても、どのように「デリバリー」するか、いうことも重要だと指摘。

同社におけるイノベーションは、ストレージやネットワークなどをソフトウェアに盛り込み、次世代のアプリケーションをx86サーバで動かすことだという。コンテンツをアプリケーション管理者にどのようにデリバリーするかが重要であり、シャドーITを管理者が把握することを可能としている。

実際のイノベーションのニーズは、プライベートクラウドとパブリッククラウドを1つにすることであり、コアからエッジにまたがり、それぞれのコンテンツにどのようにデリバリーするかということが大きなイノベーションのチャンス・課題だという。

パンディ氏は「仮想化は終点ではなく、指標の1つにしかすぎないこ。われわれではソフトウェアを介したコンテンツのデリバリーを行い、すべてをコンテナ化している。コンテンツにイノベーションを起こし、それをデリバリーした上で、デリバリーの方法も革新技術を用いて変えており、コンテンツとデリバリーを融合させている」と述べていた。