今年の夏は暑かった。関東甲信では6月下旬に早々と梅雨が明け、それから暑い暑い夏が続いた。気象庁によると、東日本では、7月の平均気温が1946年に統計を取り始めて以来の最高を記録し、西日本も2位だった。23日には埼玉県熊谷市の最高気温が、歴代全国1位の41.1度になった。
やはりというべきか、日本の地面も熱かった。千葉大学環境リモートセンシング研究センターの村上和隆(むらかみ かずたか)技術補佐員、市井和仁(いちい かずひと)教授が、地球観測衛星が地面の温度を測定したデータを調べたところ、今年7月の温度は過去17年間でもっとも高かった。市井さんは「地面の温度は『体感温度』に近い」という。
日本、米国、ブラジルで共同運用している地球観測衛星「Aqua(アクア)」に搭載された赤外線センサーのデータを使った。この衛星は、毎日午後1時半ごろ、日本付近の上空を通過する。このとき地面が放射している赤外線を測定し、それから温度を求める。1日でいちばん暑い昼下がりの地面の温度を記録していたことになる。気温を測れる気象庁のアメダスは、約21キロメートル間隔で全国約840か所に配置されている。「Aqua」のセンサーは地面の温度を1キロメートル四方ごとに測定できるので、気象庁のアメダスより詳細な温度分布がわかる。
日本全体を平均した2018年7月の地面温度は過去17年でもっとも高く、衛星の運用が始まった2002年から2018年までの平均より1.4度も高かった。北海道の北東部、東海地方、九州南部などでは平均より低かったが、本州では平均より2度以上高かった地域が多く、とくに日本海側では3度以上高い地域もみられた。また、韓国、北朝鮮の地面は日本を上回る熱さで、いずれも平均より2度以上高かった。
市井さんによると、地面の温度は日射量や気温と関係がある。ただし、気温は日陰で測った空気の温度で、地面の温度は日に照らされると上がる。私たちが感じる「暑さ」には、気温や湿度、日差しや地面の照り返しの強さなどが複雑に絡んでいる。今年の7月の暑さは、気温だけでなく、市井さんがいうように「体感」からしても、たしかにモーレツだったということらしい。
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