電子ビーム(eBeam)を活用した半導体製造技術の啓もうと促進を専門的に取り上げる業界団体であるイービームイニシャチブ(eBeam Initiative)は9月17日(米国時間)、年次調査結果を発表し、フォトマスクの出荷量が前年比27%増と好調であることを明らかにした。

同調査によるとマスク出荷量は好調なものの、同時にマスクデータの準備時間や平均のマスク描画時間は2017年比で長くなる方向である事などが挙げられており、最先端プロセス向けマスク製造のTATの短縮は進んでいないという結果となった。

また、国際半導体製造装置材料協会(SEMI)の予測では、フォトマスク市場は2017年の成長率4.1%となっているが業界としては、2018年~2020年の間でも年率4.1%以上の成長が見込めるとの見通しとなっている。

このほか同調査では、EUV露光向けマスクの出荷量は前年比2倍以上で、製造歩留まりは72%まで向上したとする一方、マルチビームマスク露光機(MBMW)の真の必要性が引き続き高まっていると指摘するほか、最先端技術領域では所望の転写パターンから逆演算する「インバースリソグラフィ(ILT)」がすでに一部の層で使われているものの、活用範囲が増加するとの見方が高まっていることが指摘されている。

なお、2017年比でVSB(可変成型)型電子ビーム露光装置ならびにレーザー露光装置ともに、マスク1層当たりのデータ量は平均的に増加し、1層当たり最も大きいデータは、VSB型電子ビーム露光機では2.2TB~3.2TB、レーザー露光機では30GBから240GBに増加しているという。