世界の有識者アンケートを基に環境問題の危機感を時刻で示す「環境危機時計」が今年は、昨年よりさらに14分も進んで世界平均時刻は9時47分になった、と旭硝子財団がこのほど発表した。アンケート結果は地球温暖化防止をめぐる状況を懸念し、時計の針はこの企画が始まった1992年以来最も進み、危機感は過去最高になった。

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    図1 過去最悪の「9時47分」になった2018年の環境危機時計(旭硝子財団提供)

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    図2 地域別の環境危機時計時刻(旭硝子財団提供)

旭硝子財団は今年の4~6月、世界139カ国の研究者や企業、政府関係者ら1866人にアンケートし、その結果をまとめた。結果によると、回答に際して重視した分野は「気候変動」が27.8%で最も多く、次いで「生物多様性」が12.0%、「水資源」が10.8%と続いた。年代別では20~30代の危機感が高かったという。

回答の地域別時刻では北米が世界平均時刻より大幅に進んで世界で一番進んだ10時11分。次いで西欧の10時4分。日本を含むアジアは9時48分。日本だけを見ると9時31分だった。自由意見では、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から離脱することを表明したトランプ米大統領による米国の環境政策の後退を懸念する指摘が目立った。

環境危機時計は、同財団が1992年から「地球環境問題と人類の存続に関するアンケート」結果を基に危機感を示す時刻を発表している。地球環境の深刻さを0時1分から12時までの時刻で示し、0時1分から3時0分までが「ほとんど不安がない」、3時1分から6時0分までが「少し不安」、6時1分から9時0分までが「かなり不安」、9時1分から12時0分までが「極めて不安」を表し、12時に近づくほど深刻であることを意味する。同財団は9時を過ぎると「極めて不安」な状態としている。

地球規模の危機感を概念的に表す時計としては、核戦争による地球破滅を「午前零時」とする米誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」の「終末時計」が世界的に有名。1947年から公表されている。

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