ヤマハ発動機とNVIDIAは9月13日、同日開催されたNVIDIAのプライベートカンファレンス「GTC Japan 2018」において、AI分野における協業体制を構築していくことを明らかにした。
具体的には、ヤマハ発動機が開発を進めているさまざまな次世代ビークルなどに、NVIDIAが提供するGPUコンピューティングシステム「NVIDIA Jetson AGX Xavier」を採用することで、高度な判断能力などを付与する、インテリジェント化を目指すという。
現時点で、ヤマハ発動機がインテリジェント化を検討しているのは、大きく2つ。1つ目が、「UGV(無人農業用車両/Unmanned Ground Vehicle)」と呼ぶ、農業用車両をインテリジェント化したもので、移動する車両部の上に作物を集荷する部位がつくようなイメージになるという。その実現には、「小型・軽量・走破性に優れた車体」、「長時間稼動可能な動力源」、「AIによる優れた周辺認識能力」の3つが必要であり、AI能力の強化にNVIDIAのノウハウを活用していくこととなる。ヤマハ発動機としては、一般的に話題になる自動運転車とは異なり、耕作地(オフロード)を走るためのさまざまな課題はあるものの、人が乗って行動するわけではないため、今回の取り組みの中でもっとも早い2020年度中の市場投入を目指すとしている。
2つ目は「PPM(電動小型低速車両/Pubric Personal Mobility)」と呼ぶ電動ゴルフカートをベースに、自動運転技術を活用して、都市部や過疎地、観光地などにおけるラストワンマイルビークルを目指すというもの。その実現には、「高品質、高信頼性の車両プラットフォーム」、「高度な自律化技術による自動運転」、「需要予測に基づく最適な運行システム」といったものの実現が必要であり、ヤマハ発動機としては、人が乗る車両であることもあり、安全第一で、高品質かつコストを意識した車両をベースに、AIを用いた需要予測に基づく運行システムの開発も行なっていきたいとしている。
さらに、ヤマハ発動機では、従来から強みを持つ産業用無人ヘリコプターやドローンのインテリジェント化の推進により、現行よりもさらに複雑な環境でも自律航行を可能としていくとするほか、アクティブセーフティへの応用、ボートなどの船舶の自動化、FA領域でのプログラムレス化の推進など、陸・海・空、インドア・アウトドア問わずあらゆる場所でAIの活用を進めていくことを目指すとしており、その中で、NVIDIAとの協業を通じて、GPUを用いたAIの開発を行なっていくことは当然の判断とする。
なお、ヤマハ発動機がAI開発を強化していくうえで、NVIDIAを選んだ理由としては、Jetson AGX Xavierのほか、CUDAならびにNVIDIAが提供するロボティクスプラットフォーム「ISAAC」の存在が重要なポイントとなったとしており、これらを活用することで、開発から製品に至るまでの一連のエコシステムがシームレスにつながることが、開発の効率化という点で期待できるようになると説明している。