北海道で最大震度7を観測した大地震では、震源周辺の厚真(あつま)町などで約5センチ動く地殻変動があった、と国土地理院(茨城県つくば市)が6日発表した。気象庁は今回の地震を「平成30年北海道胆振(いぶり)東部地震」と命名。震源が地下37キロの逆断層型地震としている。また、政府の地震調査委員会(委員長・平田直・東京大学地震研究所教授)は同日夜、震源近くにある活断層で発生した地震ではない、との見解を表明した。地下深いところにある断層が上下方向に動いたとみられている。
国土地理院によると、震源から10数キロの北海道・厚真町に設置された電子基準点が、南東方向に約5センチ、同約25キロ離れた日高町の基準点が南方向に約5センチ、それぞれ動いた。
気象庁などによると、今回の地震は東北東と西南西方向から地殻が圧縮されて断層が上下方向にずれる「逆断層型」だった。地震調査委員会によると、震源の西方には活断層「石狩低地東縁断層帯」が南北に走っており、長さ約66キロの「主部」と54キロ以上の「南部」がある。地震発生直後はこの活断層が関係している可能性が指摘されたが、6日夕方緊急会合を開いた地震調査委員会はこの活断層は今回の地震とは無関係との見解を示した。
6日夜、文部科学省で記者会見した平田委員長は、今回の地震により震源付近の断層帯が活動しやすくなった可能性も否定できない、と指摘。「地震発生から1週間程度は最大震度7程度の地震に注意が必要で、特にここ2、3日程度は規模の大きな地震が発生することが多い」と余震だけでなく新たな地震発生にも注意を呼びかけた。
地震調査委員会は全国で100以上の活断層を評価対象にしており、石狩低地東縁断層帯も含まれていた。同委員会は「30年以内に大地震が起きる確率を、断層帯主部はマグニチュード(M)7・9程度がほぼ0%、南部はM7・7程度以上が0・2%以下」としていた。国内には2千以上の活断層があり、存在も知られていない活断層も多数あるとされる。同委員会など地震関係研究機関は今後も今回の地震の発生メカニズムなどを詳しく分析、調査する。
関連記事 |