アドバンテストは、9月5日から7日にかけて幕張メッセにて開催されている分析機器・科学機器専門展示会「JASIS 2018」にて、テラヘルツ波を用いて非破壊で物体内部を解析する技術の紹介などを行なっている。

テラヘルツ波は、電波と光波の境界にある電磁波で、紙やプラスチックなどの物体を透過して内部を観測できるといった特長などを有している。また、9月3日付けで発表された「第15回 江崎玲於奈賞」に、「テラヘルツ技術の開拓によるナノ構造の電子物性解明の先導的研究」という研究主題で東京大学生産技術研究所(東大生研) 光物質ナノ科学研究センターの平川一彦 教授が選出されるなど、将来の産業活用が期待される技術として注目が高まりつつあるが、マイクロ波や赤外光といったほかの電磁波と比べ、どういった産業分野での活用が可能なのか、といった点を含め、まだそれほど市場に浸透していないという課題がある。

アドバンテストでは、2014年よりテラヘルツ波を用いた非破壊解析装置や分光解析装置の提供を進めてきており、今回の展示会でも、そうしたこれまでの取り組みの紹介などを中心に行なっている。例えば、半導体分野では、近年、シリコンインターポーザー上に複数のチップを搭載することで高性能化を実現する2.5Dパッケージと呼ばれる技術がハイパフォーマンス分野を中心に活用されるようになってきている(TSMCがCoWoSと呼ぶ技術は、NVIDIAなどが採用している)が、インターポーザーの上下をTSVでバンプとつなげるため、外観検査からでは故障が生じているかどうかが分からないため、こうした技術を活用して、接続状態のチェックなどを行なうことが可能となる。

また、製剤分野では、例えば錠剤に対する透過性が高く、位相情報が得られるため、非破壊かつ迅速に密度や硬度、空孔率といった分析を行うことができるとする。

なお、同社では、今後もさまざまな産業に向けたテラヘルツ波の活用提案などを行なっていくとするほか、こうした解析はできないか、といった相談なども広く受け入れていくことで、さらなるテラヘルツ波の活用の幅を広げていきたいとしていた。

  • テラヘルツ波を用いた卓上型非破壊分光システム「TAS7400」

    テラヘルツ波を用いた卓上型非破壊分光システム「TAS7400SP」(帯域0.1~4THz品)。最近は、液体の測定も可能ということが分かったとのことで、右側の銀色の物体が液体測定用の治具となっている

  • テラヘルツ分光・イメージング・システム「TAS7500シリーズ」

    テラヘルツ分光・イメージング・システム「TAS7500シリーズ」。右側の「膜厚MTAセンサーヘッド」は、従来の測定は小さな欠片状態での測定をする必要があったのに対し、もっと大きな物体の膜厚を測定したい、というニーズに対応するために開発されたものだという