IDC Japanは9月5日、ブロックチェーン関連市場予測を発表した。これによると、2018年におけるブロックチェーンに関連する世界の支出額は15億ドルと見込まれ、2017年の支出額の約2倍になるという。

  • 世界ブロックチェーン市場の支出額予測(主要地域別)

    世界ブロックチェーン市場の支出額予測(主要地域別)

ブロックチェーン関連の世界における支出額は2022年に117億ドルに達する見込みであり、2017年~2022年における年間平均成長率(CAGR、Compound Annual Growth Rate)は73.2%と予測している。

世界のブロックチェーンへの支出額を主要地域別に見ると、最大の投資が見込まれる地域は米国であり、その支出額は予測期間である2018年~2022年を通じて全世界の支出額の36%以上を占めると同社は予測する。

地域別の支出額は西ヨーロッパ、中国、日本と中国を除くアジア太平洋地域(APeJC、Asia Pacific excluding Japan and China)と続く。全9地域で同期間にブロックチェーン支出額の大幅な増加を見込んでおり、中でも日本とカナダが、それぞれのCAGRが108.7%、86.7%と最も大きく成長すると推測。

産業分野/セクター別の支出額では、金融セクター(2018年に5億5200万ドル)が主導すると見込んでおり、銀行における急速な採用がその主な促進要因になるという。また、流通/サービスセクター(2018年に3億7900万ドル)では、小売および専門サービスによる手堅い投資が見込まれる一方で、製造/資源セクター(2018年に3億3400万ドル)では、組立製造およびプロセス製造が投資を牽引すると想定している。

これを地域別に見ると、米国では、流通/サービスセクターで最大のブロックチェーン投資が見込まれるほか、2018年において西ヨーロッパ、中東及びアフリカ(MEA、Middle East and Africa)、中国、APeJCで、ブロックチェーンへの支出をリードしているのは金融セクターとなる。

一方、成長率で見た場合、世界で最も急速な成長が見込まれる産業分野は、プロセス製造(CAGR 78.8%)、専門サービス(同77.7%)、および銀行(同74.7%)という。金融セクターにおけるブロックチェーンは、クロスボーダー決済、貿易金融/ポストトレード決済、コンプライアンス対応、カストディ(有価証券の管理など)/資産管理をはじめ、多数の一般的な用途に適用されるという。

また、流通/サービスおよび製造/資源セクターの有力な用途としては、資産/商品管理、来歴管理などを同社は挙げている。世界市場全体では、クロスボーダー決済が2018年に最大の支出(1億9300万ドル)が見込まれる用途となり、来歴管理(1億6000万ドル)、貿易金融/ポストトレード決済(1億4800万ドル)がこれに続く。これら3用途への支出額は、2022年においても全ての用途の中で上位3位であり続けるという。

テクノロジー分野別では、予測期間を通じて、ITサービスとビジネスサービスが、ブロックチェーンへの支出額全体の約70%を占める見込み。ブロックチェーンプラットフォームソフトウェアは、ITサービスとビジネスサービスに続いて支出額の大きい分野となり、セキュリティソフトウェアと共に最も急成長を遂げる分野の1つだという。

国内の市場規模に目を転じると、2018年の49億円から2022年に545億円へと急速に成長する見込みとなっている。

  • 国内ブロックチェーン市場の支出額予測

    国内ブロックチェーン市場の支出額予測

米IDCのCustomer Insights & Analysisリサーチマネージャーであるステイシー・スーフー氏は「ブロックチェーンへの強い関心は、地域の枠を超え世界共通である。企業や組織は、このテクノロジーをビジネスに適用する可能性を追及し続けている」と述べている。

さらに、同氏は「ブロックチェーンに対する規制への懸念や、業界標準の必要性が、引き続きブロックチェーンの広範囲の普及を妨げる要因となっており、世界中の政府と企業が共同でブロックチェーンに関するポリシーとガバナンスの策定に取り組んでいる。そのような状況において、企業の枠を超えたコラボレーションとブロックチェーンの相互運用性が、分散台帳技術(DLT、Distributed Ledger Technology)の成長に不可欠な要素として浮上している」とコメントしている。