文部科学省はこのほど、2019年度科学技術関係概算要求の概要を公表した。予算要求の総額は1兆1,680億円で前年度予算比2,054億円増。「Society5.0」を実現し、未来を切り開くイノベーション創出や世界で活躍できる優秀な人材の育成、国家的・社会的重要課題の解決に貢献する研究開発の推進などを重点項目にしている。
イノベーション創出関連では、「Society5.0」を支える世界最高水準の大型研究施設の整備として、スーパーコンピューター「京」の後継機開発に前年度予算比150億円増の206億円を、仙台市に建設予定の次世代放射光施設向けに同43億円増の46億円を計上し、整備に着手する。また、「ハイリスク・ハイインパクトな研究開発の推進」のための「未来社会創造事業」に同55億円増の110億円を盛り込んだ。
人材育成関連では新たに「世界で活躍できる研究者戦略育成事業」を新設し、6億円を要求した。国家的・社会的重要課題の解決を目指す研究開発として、巨大地震が懸念される南海トラフ周辺に海底地震・津波観測網「N―net」を新設する費用として32億円を盛り込んだ。南海トラフ沿いでは同じ様な観測網が紀伊半島沖などで既に整備されているが、空白域となっている高知県沖から日向灘の観測を強化する。
また、国家戦略上重要な技術の研究開発の関連として、次世代大型ロケットH3や次世代人工衛星の開発のために前年度予算比251億円増の980億円を要求。使用済み核燃料の取り出しが始まった高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃炉関連予算として179億円を計上した。
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