凸版印刷、英国ZiFiSense Info Tech(以下、ZiFiSense)、テクサーの3社は5日、ZiFiSenseが開発し、テクサーが国内で普及を推進するアンライセンス方式の低消費電力広域ネットワーク(LPWAN)の最新規格である「ZETA」を活用したIoT事業での協業について、9月4日に合意したことを発表した。

  • ZETA LPWANハイパフォーマンス通信モジュールと、ZETA IoT-ネットワークアーキテクチャー

    ZETA LPWANハイパフォーマンス通信モジュールと、ZETA IoT-ネットワークアーキテクチャー

IoTの本格普及に向け、通信容量は小さいが大量接続を要求されるニーズにおいては、広範囲、低消費電力、低コストに対応するLPWAネットワークが注目を集めている。一方、様々な実証実験が進む中、主に市街地や山間部など無線環境が厳しいエリアでは、通信接続や導入コストにおける課題が顕在化してきた。

これらの課題を解決するため、ZiFiSenseは、超狭帯域(UNB: Ultra Narrow Band)による多チャンネルでの通信、メッシュネットワークによる広域での分散アクセス、双方向での低消費電力通信が可能といった特長を持つ、IoTに適した最新のLPWA規格を開発した。

今回の協業により、凸版印刷は、ZiFiSenseが持つZETA通信モジュールの販売および国内での独占製造権についてライセンス契約を締結した。同通信モジュールは、ZiFiSenseが中国を中心に販売してきたが、このたびZETA関連製品の日本総代理店であるテクサーから製造ライセンスおよびZETA関連技術情報の提供をうけ、凸版印刷が日本国内でのモジュール設計および製造を行い、2019年4月より量産を開始するということだ。

また、凸版印刷は、エレクトロニクス事業で培ったモジュール設計技術を活かし、ZETA通信モジュールの小型化、省電力化やセキュリティー性の向上を目指した開発を行うという。これにより、IoT製品開発メーカーは、従来よりも小型・軽量のZETA対応センサー端末の提供が可能となり、より多くのIoTアプリケーションへの展開が期待される。

凸版印刷は今後、自治体向けを含むソーシャルビジネス、物流・流通分野、建築資材分野など、幅広い事業領域の販売チャネルをもって、ZETAを活用したIoTサービス開発も並行して行うことで、ZETA通信モジュール関連事業で2022年に5億円の売上を目指すとしている。また、3社はZETAの普及促進を目的として設立されたZETAアライアンスを推進し、今後、様々な社会課題に対して適用を進め、Society5.0で掲げられている超スマート社会実現への貢献を目指すとしている。