常に混んでいた人気の飲食店が明らかに通常より空いている。天候のせいなのか、なにか周辺でイベントでもやっているのか?と思わず想像する。サービスを受ける側としては空いていれば嬉しいものの、ビジネスとしてサービスを提供する側としては、できるだけ正確に来店客数を予測しておきたい。トレタと損害保険ジャパン日本興亜、日本気象協会の3社は、飲食店など外食産業の需要予測モデル構築を目指した実証実験を9月から開始する。
実証実験は、適正な仕入れによるフードロス問題の解決や適切な人員配置による生産性の向上を目指すもので、飲食店向け予約/顧客管理サービスを展開するトレタがビッグデータを、損保ジャパン日本興亜がリスク管理のノウハウ、日本気象協会が気象データやAIを用いた予測技術を提供。天候をベースにした飲食店の来店客数予測から仕入れや人員配置の最適化を実施し、これを検証する。
日本気象協会とトレタによる170店舗の飲食店を対象とした平日/休日の17時から21時の4時間の雨の量と予約のキャンセル率とウォークイン率(予約なしでの来店割合)の解析(2013年12月から2017年12月)の一端を例示している。雨による影響は当然、双方に表れるが、4時間5mmと4時間10mmの雨量に区分し、キャンセル率/ウォークイン率と平日/休日で分類すると必ずしも予想通りの結果にならない。4時間5mmと4時間10mm、雨量が増えると平日のキャンセル率が約2%上昇するのに対して、休日は約10%上昇(25.8%→38.2%)する。対して、ウォークイン率は平日で約6%の違いが出るが、休日ではほとんど差が出ていない。
9月から行われる予定の実証実験では、飲食店のジャンルごとの固有の特長を反映させた「来店客数予測モデル」を用いて、飲食店に来店客数予測を事前に情報提供。仕入れや人員の最適化など実際のオペレーション効果を検証。8月20日からは実証実験のパートナー企業の募集もトレタでは開始している。
3社は、大きな雇用を生み出している外食産業の人員配置による需給ギャップ解決による生産性の向上、売れ残りや食べ残しなどいわゆるフードロス問題の解決などを課題に挙げ、内閣府が掲げるSociety5.0の実現を目指す構え。Society5.0は、情報社会(Society4.0)に続くビジョンとして第5期科学技術基本計画で提唱されており、先端技術をエネルギーや経済問題など社会的課題の解決、人間中心のスマートな社会を目指すもので、過不足の無いモノやサービスの提供もその理念に含まれている。