Box Japanは8月9日、都内で記者会見を開き、事業規模の拡大に伴いオフィススペースを拡充し、東京オフィスを新設したと発表した。

新オフィスは2000平方メートルの広さを持ち、200人の従業員の収容を可能とし、オフィススペースはコラボレーションを念頭に設計されている。

複数の会議室や共同ワークスペースに加え、ウェルビーイング(心身の健康)を推進する禅ルームや、小さな子供を持つ親のためのマザーズルーム、健全な労働環境を奨励する広い共有空間も備えている。

  • オフィスの内観
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日本オフィスは2013年に開設し、現在では100人の従業員が在籍しており、今後1年間で100人増員を予定している。デジタルワークプレイスを推進する同社がなぜ、2000平方メートルもの大きさのオフィスを新設したのか。この点についてBox Japan 執行役員 アライアンス・事業開発部長の安達徹也氏が次のように説明した。

  • Box Japan 執行役員 アライアンス・事業開発部長の安達徹也氏

    Box Japan 執行役員 アライアンス・事業開発部長の安達徹也氏

「われわれは、テレワークに関して単なる在宅勤務ではなく、柔軟なワークプレイスの選択(リアル・デジタル)ができると考えている」

同社は「自分らしさを職場に持ち込み、自分らしく毎日働く」を7つある社是の1つとして掲げており、”持ち歩けるオフィス”であるデジタルワークプレイスと、“自分のすべてを持ってくる”リアルワークプレイスの両立を進めている。

  • Boxではデジタルワークプレイスとリアルワークプレイスの両立を進めていく

    Boxではデジタルワークプレイスとリアルワークプレイスの両立を進めていく

同氏は「オフィスの役割は生産性を高める設備により、時間に余裕が生まれ、仕事仲間との会話する時間が増え、アイデアが生まれる。そして、アイデアをぶつけ合い、新しい気づきを生み出し、イノベーティブな提案により、顧客にとっての価値を生み出せる」と力を込めた。

グローバルで10億ドルの売上高を目指す

米Box 共同創業者・最高財務責任者のディラン・スミス氏がビジネスの概況に関して「顧客はグローバルにおいて8万5000社にのぼり、昨年度に5億ドルの売り上げを達成し、2021年1月期には10億ドルを目指している。グローバルなビジネスの拡張に取り組んでおり、日本はパートナー、カスタマー含め、戦略的に重要な市場だ。さらに、安定したビジネスを展開し、解約率は5%未満となっている」と説明した。

  • 米Box 共同創業者・最高財務責任者のディラン・スミス氏

    米Box 共同創業者・最高財務責任者のディラン・スミス氏

一方、日本のビジネスについてBox Japan 代表取締役社長の古市克典氏は「Box Japan設立から5年を迎えた。Boxのミッションは情報管理とコラボレーションのあり方を変革することであり、クラウドストレージのみならず、ファイル同期・管理・共有、モバイルアクセス、セキュリティ管理を実現し、多数の業務アプリとエコシステムの構築、業務ワークフローの自動化、AIによるコンテンツ分析を可能としている」との認識を示す。

  • Box Japan 代表取締役社長の古市克典氏

    Box Japan 代表取締役社長の古市克典氏

そのような状況を踏まえ同氏は、国内のIT市場はDXや企業構造の変化(ピラミッドからフラット組織)、人生100年時代(単線型ライフサイクルから複線型ライフサイクル)、2025年問題(少子高齢化に伴う労働力不足)の影響で新しい働き方の基盤構築が急務となっていると指摘。

そして「Boxは通信、アクセス、認証、ログ、ウイルスチェックをはじめとしたセキュリティ、オプションサービスにより利用者・管理者とって最適なサービスを提供し、カスタマーサクセスマネージャによる利用促進を図っている。そして、多様なサービスとつながるエコシステムを有することから、新しい働き方の基盤として適している」と古市氏は胸を張る。

今後のマーケット戦略として同社では、業界リーダーへの導入促進・関連企業への伝播、パートナー企業によるカスタマーベースの拡大により、金融や自治体、病院などの新市場を開拓。これを実現するために日常業務のデジタル化を支援する「Digital Workplace」と、デジタルとリアルを融合することでDXを進めることを支援する「Digital Business」を柱に事業を展開していく方針だ。

  • 「Digital Workplace」と「Digital Business」を柱に事業展開する

    「Digital Workplace」と「Digital Business」を柱に事業展開する