IDC Japanは8月9日、国内企業のCIOや情報システム部門長または、それに準じる立場の管理者を対象に国内企業のIT投資動向に関する調査を行い、分析結果を発表した。
2018年度の国内企業のIT支出計画は、全体では前年度比で「変わらない」とする企業が6割を超えているものの、大企業(従業員数1000人以上)/中堅企業(同100~999人)ではその割合が5割未満となり、「増加」が大企業では39%、中堅企業では25%に達し、ともに「減少」を上回っているという。
労働人口の減少や人材不足を背景として、大企業/中堅企業を中心に、ITを積極的に活用することで業務の効率化や働き方改革に取り組む動きが強まっていると指摘している。
産業分野別では、通信/メディアと金融でIT予算の拡大傾向が強くなっている一方で、政府/公共は、「増加」が「減少」を上回るものの、「減少」の割合が3割近くに達し、IT予算を拡大する組織と縮小する組織に二極化する傾向だという。投資領域をみると、大企業ではパブリッククラウドサービスや、外部データセンターサービスを利用した割合が3割を超えている。
また、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業は半数を超え、大企業を中心に金融と情報サービスの取り組みが先行している。さらに、業務部門が独自に管理するIT予算があるという企業は、大企業ほど多く、9割を超える。一方で大企業は「IT投資対効果の可視化」や「IT戦略策定/企画力の向上」が課題とする企業が多く、外部パートナーのサービスを幅広く必要とする傾向も強くなっている。
国内ITサービス市場は、第2のプラットフォーム向けのITサービス支出の減少により、徐々に成長率が低下することが予想され、クラウドを中心とした第3のプラットフォーム向けITサービス支出が市場全体の成長を牽引するものの、業務部門がプロジェクトを主導し、従来システムとの連携が十分に考慮されていないケースも少なくないという。