NTTは、データを暗号化したまま、実用的な速度で安全に集計・統計処理できる秘密計算システム「算師」を開発したと発表した。
秘密計算の利点は、計算結果以外は誰にも見えないデータ運用ができることや、これにより、今まで他組織に開示することが難しかったデータを持ち寄った新しい統合分析が可能になることにあるという。
算師は、秘密計算の長年の技術課題であった処理速度を向上し、100属性×1000万件規模のデータの集計や統計演算を実用的な時間内に処理することができ、ウェブブラウザ上のGUIや統計解析ソフトウェア「R」のインタフェースでデータを見ることなく実行することができる。さらに、「R」で簡単なプログラムを作成し、回帰分析や主成分分析など、用途に応じた分析を実行することも可能だという。
特に、算師が提供するテーブル結合機能(複数の表を結合キーも漏らすことなく結合できる機能)は、異なる企業間や異業種間で、互いに所有データを見せることなくデータを統合し、横断分析した結果のみを得ることを可能にするという。
今後同社は、データ利活用の活性化に向けた取り組みとして、8月20日から算師を無償で試用提供するという。
応募期間は8月20日~12月28日で、利用できるのは8月20日~来年3月29日。利用できる機関は3カ月で、利用状況に応じて6カ月まで延長できる。
試用では、クラウド上に構築した算師を用いて、データを暗号化したまま集計・統計処理を行う算師の機能を実際に体験でき、気軽に試すことができよう代表的な分析シナリオと試用データを3種類用意する。
また、さらなる試用を希望する人は、自身が保有するデータに基づき、代表シナリオ以外の個別の分析シナリオ等で算師を試用するサポートも行うという。