市場調査会社のTrendFoeceは、NAND型フラッシュメモリの平均販売価格が2018年第3四半期および第4四半期ともに、それぞれ約10%ずつ下落するとの予測を発表した。例年、第3四半期は、コンシューマエレクトロニクス製品の販売がピークを迎える時期だが、エンドマーケットの需要は期待していたほどには高まらなかったためだという。

そんな中、3D NANDフラッシュメモリの供給は増加し続けている。

NAND価格の下落の主な理由について同社は、サプライチェーンのさまざまなレイヤの供給過剰の状態にあるとしている。特に、大口の市場であるスマートフォン(スマホ)は、ハードウェアによる世代間の差別化が難しくなってきており、買い替え需要が低迷。その結果、出荷台数は2017年並にとどまると見られている。

また、ノートPCの出荷台数は2018年上期に伸びたことから、下期は上期比較で鈍化することが予想される。さらに、サーバ向けSSDは、サーバ需要が高いため、期待できる市場だが、参入サプライヤも増加しており、供給過剰の状態に陥っているという。

加えて、NANDサプライヤ各社は歩留まりが改善してきていることを受け、出荷量の予測を引き上げているため、継続的に供給過剰の状態が生じていることも価格の下落の要因となっていると同社では説明している。

NAND価格低下がもたらす需要の増加

NAND価格の低下は、必ずしも悪い結果ばかりもたらすわけではない。メモリ価格が低下すれば、メモリを活用した製品を製造するサプライヤは、そうした製品のストレージ容量を増やす方向に動くことが期待できるようになるためだ。スマホで考えれば、例えば自社のハイエンドモデルのストレージ容量を256や512GBに増加。それに伴って、ミドルレンジなどの容量も32/64GBから64/128GBへアップグレードを図るといった具合だ。2018年におけるNANDのビット消費量は、前年比40%以上成長すると見込まれているが、これにはスマホに搭載されるNANDの容量増加の寄与が大きいという。

スマホ以外にも、ノートPCへのSSD搭載比率の向上が期待できるようになるほか、PC-OEM向けクライアントグレードSSDの容量も増加。サーバSSDも大容量化の動きを見せており、セル当たり4ビットの記録が可能なQLC 3D-NANDアーキテクチャの市場投入により、その容量は2019年にかけてさらに増加することも期待できるとする。

2019年上期もNAND価格が下落する可能性が浮上

TrendFoceは、2018年下期から引き続き、2019年上期についても、例年、季節的な要因で需要が低迷する時期であり、スマホやノートPCなどの出荷が抑えられること、ならびに東芝メモリの四日市工場の第6製造棟が2019年に稼動予定で、供給過剰に拍車がかかる可能性があることなどから、価格の下落傾向が続くかもしれないとしている。

さらに、多くのNANDサプライヤが3D-NANDの層数を64/72層から96層へと高層化する動きを見せており、これによりビット生産量が増加すると、市場に対する供給過剰状態はさらに長引く可能性があるとも指摘している。