パナソニック、関西電力、メディカルシステムネットワークの3社は8月1日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業である、ライフデータの有効利用により社会課題解決を図る新たなサービス創出を可能にするための環境整備を目的とした「IoTを活用した新産業モデル創出基盤整備事業(IoT技術を活用したライフデータの高度利用システムの開発)」への採択を受け、実証実験を開始すると発表した。
実験では、IoT家電/センサ情報の協調データの集約と、高齢者の生活をサポートするための高次データ処理を行うデータプラットフォーム(データPF)の構築を目的としている。
また、データPFから供給する情報に基づき、地域包括支援センターや訪問介護事業者、薬局など、多様な事業者が参画し、高齢者の生活をサポートするためのサービス創出を目指す。実証期間は2018年7月から2019年3月まで。
実証環境は、パナソニック製のIoT家電/センサ機器、エーザイが販売する服薬支援機器、オムロンヘルスケアが販売するバイタルサインセンサ機器からのデータ、および関西電力の電力使用量などのデータを、パナソニックが運営するデータPFに集約し、高齢者の生活サポートに必要な生活実態の把握、服薬およびその効果情報、緊急駆け付けの必要性の分析・把握を行い、これらの情報をモデル事業者へ提供することにより実現するとしている。
3社の役割として、パナソニックは在宅高齢者の生活実態の把握に向けて、生活実態や服薬実態、バイタルサインを把握するIoT家電/センサからのデータを集約するデータPFの構築を行う。データPFは、IoT家電/センサからのデータの集約に加え、集約したデータから、高齢者の生活サポートに必要な睡眠状態やトイレ回数などの生活リズム、服薬によるバイタルサイン変化を分析し、モデル事業者に情報提供する。
さらに、愛知県豊田市および傘下の7つの地域包括支援センターと連携し、データPFに集約するデータに基づき、高齢者の生活リズム情報/バイタルサイン情報から適切なケアプラン作成や介護従事者の負担軽減を行い、行政による福祉サービスの充実を目指した実証を行う。
関西電力は、電気使用量の変化から生活リズムの異変などを家族などに伝える「はぴeまもるくん」のサービスに、バイタルサインや睡眠状態などのデータを新たに組み合わせ、同社グループ傘下の介護事業者である、かんでんライフサポートの「在宅介護」と、ホームセキュリティ事業者である関電セキュリティ・オブ・ソサイエティの「緊急駆け付け」機能を付加した、高度な見守りサービスの実証を行う。
具体的には、電気使用量やバイタルサインの変化を基に、利用者の異変を速やかに把握し、事業者側から安否確認・緊急駆け付けを行うとともに、睡眠状態などの詳細な生活リズムにより、充実したケアプランを作成するなど、介護サービスの質の向上につなげる検証を行う。
メディカルシステムネットワークは、同社傘下の「なの花薬局」と連携し、同プラットフォームから提供する生活リズムやバイタルサイン変化の情報を、薬剤師が服薬効果の分析や課題となっている多剤服用の適正化(ポリファーマシーの是正)などに利用する。
加えて、実証を通じて薬局に在籍する管理栄養士などとも連携し、医師や家族などへのレポートを含めた調剤薬局による高齢者生活支援サービスの可能性を検討していく。