日本IBMは7月31日、医療業界におけるクラウドサービスの利活用に関して厚生労働省・総務省・経済産業省が発行する4つのガイドラインへのIBM Cloudの対応状況について、三菱総合研究所から「医療機関向けIBM Cloud IaaSクラウドサービス対応セキュリティリファレンス」が公開されたと発表した。
医療・ヘルスケア業界のユーザーにおけるクラウド需要の高まりと同時に、IBM Cloudの安全性やプライバシー管理に関する第三者による確認結果公表の需要を踏まえ、今回の調査を依頼。
同リファレンスは主に医療機関・SI事業者などが医療情報システムをIBM Cloud IaaS上に構築・利用する場合を想定し、3省4ガイドラインの各項目に対するIBM Cloud IaaSの対応状況を調査したものとなる。これにより、日本IBMはAI技術や医療業界向けソリューションを含むクラウドサービスの提供を加速していく。
統合医療情報システム「IBM CISソリューション」を活用している藤田保健衛生大学病院は、電子カルテデータの災害対策用バックアップシステムとしてIBM Cloudを採用し、7月31日から運用を開始している。IBM Cloudを活用することで自社のITインフラを増強することなくデータバックアップを行いながら、研究活動にクラウドサービスを活用していくなど新しい利用法も可能となりという。
また、同社のビジネスパートナーであるミナリスが提供する統合型医療情報システム基盤(病院向け電子カルテシステム)やナイスが提供する医事会計システムのレセプトビュー機能などが、すでにIBM Cloudをクラウド基盤として採用。このような各地域の医療機関へのサービス提供に強みを持つパートナーとともに、医療・ヘルスケア業界におけるクラウド利用拡大に取り組む考えだ。
今後、同社ではIBM Watson API、データ分析ソリューションなどIBM Cloud経由で利用可能なサービスを組み合わせて提案していくことで、医療業界のユーザーのIT活用を支援していくという。
なお、4つのガイドラインは厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第5版」、総務省「ASP・SaaSにおける情報セキュリティ対策ガイドライン」、同「ASP・SaaS事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン 第1.1版」、経済産業省「医療情報を受託管理する情報処理事業者における安全管理ガイドライン」となる。