日立製作所は7月31日、大規模システムのアプリケーション開発やプロジェクト管理のノウハウに、AI(人工知能)やRPA(Robotic Process Automation)などのデジタル技術を組み合わせ、システム開発の効率化と品質向上を支援する「Justware統合開発プラットフォーム」をシステム開発環境として、10月1日から提供を開始すると発表した。

新プラットフォームは、システム開発に必要となるツールやフレームワーク、開発方法論を統合・標準化したもので、プロジェクト管理者や開発者を支援するためのソリューション群で構成。従来のアプリケーションフレームワーク「Justware」に、プロジェクト管理や開発を支援する各種機能の追加などを行い、プロジェクト全体を効率化する開発環境として整備した。

これまで、同社が受託開発時に適用してきた「フレームワーク」や「標準開発ツール」に加え、新たにプロジェクトの管理作業を効率化する「プロジェクト管理支援」機能と、開発作業を効率化する「開発者支援」機能を開発。

  • 「Justware統合開発プラットフォーム」の構成イメージ

    「Justware統合開発プラットフォーム」の構成イメージ

プロジェクト管理支援では、プロジェクト全体の進捗や品質の状況を自動収集し、ダッシュボード上でチーム単位や開発機能単位で状況を可視化することで、迅速な把握が可能。また、ソースコードの自動分析によるバグ混入や可読性のチェックといった効率的なソースコードレビューを支援するほか、成果物のレビューや開発計画のリスク評価など、プロジェクト管理をサポートする各種機能を順次提供する。

開発者支援では、設計書間の整合性自動チェックに加え、設計書情報や製品ガイドラインといった開発に必要となる各種情報に関するQ&Aや多言語自動翻訳に対応するチャットボットサービス、分散する拠点間でのスムーズなドキュメントのレビュー支援など各種機能を備え、開発者の作業負荷の軽減とともに、開発者間のスムーズかつ円滑なコミュニケーション環境を実現するという。

主な特徴として「進捗・品質状況のリアルタイムな可視化とAIによるリスク診断」「チャットボットをベースとしたインタフェースで開発作業の自動化」「プロジェクトの特性や顧客ニーズに合わせて各種サービスを統合」の3点を挙げている。

進捗・品質状況のリアルタイムな可視化とAIによるリスク診断では、開発環境に格納されている各種情報をリアルタイムに収集し、一元的な管理・可視化を実現。統合リポジトリ*2で管理するプロジェクトの情報を、ダッシュボードで視覚的に分かりやすく表示し、プロジェクト管理者はプロジェクトの進捗やソースコードの品質状況などをWebブラウザ上でいつでも把握することを可能とし、特に大規模プロジェクトで煩雑となるプロジェクト管理作業の負荷軽減に寄与するという。

さらに、プロジェクトスケジュールに関する妥当性チェックや成果物をもとにした担当者やチームの弱点抽出とスキル強化施策の提示、テスト状況や結果などの情報をもとにしたアプリケーション品質の自動予測など、AIを活用した各種機能を順次強化し、プロジェクト管理の高度化を支援するとしている。

開発作業の自動化に関しては、チャットボットをベースとしたインタフェースは自動翻訳機能により多言語での円滑なコミュニケーションができるほか、プロジェクトに関する情報のFAQを作成しておくことで自然言語での質疑応答が可能。設計書の整合性チェックやテストコードの自動生成、テスト支援ツールなどの開発支援ツールを提供し、これらのツールをボットでつなげることで自動化を図り、開発者の作業を軽減することができるという。

各種サービスの統合については、アプリケーションの特性やプロジェクトの規模、体制、開発スタイルといったプロジェクト特性、顧客が利用したい機能や外部サービスなどの要望に合わせて、最適なアプリケーション開発環境を提供。オンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドの環境でも利用を可能とし、顧客ニーズや市場環境の変化に柔軟に対応しつつ、高品質なアプリケーションを効率的に開発することを可能としている。

今後、同社は設計書やソースコードなどのシステム開発における成果物に加え、プロジェクトの計画書や規準書、レビュー記録といったプロジェクトにかかわる情報をデジタル化して蓄積・分析することで、プロジェクト成功のための知見・ノウハウをチーム全体でさらに共有・活用できるなど、新プラットフォームを継続的に強化し、さらなる生産性向上につなげていく考えだ。価格は、フレームワーク、標準開発ツール、プロジェクト管理支援、開発者支援ともに個別見積もり。