近畿日本鉄道(近鉄)、西日本電信電話(NTT西日本)、日本電信電話(NTT)の3社は7月27日、複数のAI(人工知能)を組み合わせた新たな訪日外国人向け観光案内サービスの商用化に向け、近鉄奈良駅において8月10日までの予定で実証実験を開始した。
近鉄は、奈良や伊勢志摩エリアなど沿線に多くの観光地を持っており、急増している外国人観光客も含むすべての利用客に対して、言語に依存せず直感的な操作で視覚的な案内を意識したスマートフォン向けアプリ提供などによる経路案内や観光案内(「シームレス案内」)に取り組んでいる。
今回、近鉄を利用する観光客に対して、今までにない案内サービスを提供し満足度を向上させることを目的として、ICTを用いた観光ソリューションのノウハウを持ち地域活性化に取り組んできた実績があるNTT西日本と、AI、IoT、UI/UX(ユーザーエクスペリエンス)などの研究開発を進めているというNTTとの間で、各社の強みを生かして実証実験を実施する。
3社による実証実験では、多くの外国人観光客が訪れる近鉄奈良駅にNTT西日本がWi-Fi環境を構築、NTTが画像認識AI機能である「かざして案内」と対話AI機能である「チャットボット」を組み合わせた「マルチモーダル・エージェントAI」を提供し、利用頻度、コンテンツ満足度、ネットワークを含むICT環境の快適度などを分析し、商用化に向けて検討を行う。
なお、同実証実験においては、英語・中国語(繁体字・簡体字)に対応するという。
期間は7月27日から8月10日までの予定で、実施時間帯は9時~15時(7月27日は14時~17時)。場所は、近鉄奈良駅の東改札外コンコース。
この実験において近鉄は、スマートフォンを利用する案内サービスへの外国人観光客のニーズ、有効性の把握。NTT西日本は、利用シーンに応じた観光案内ソリューションの妥当性の把握。NTTは、マルチモーダル・エージェントAIの利用実態及び求められる機能の把握・分析を行う。
今後3社は、今回の実証実験を通じて得た技術を、近鉄が推進するシームレス案内のプラットフォーム基盤として利用することにより、言語に依存しない直感的な観光案内の実施、駅係員や観光案内コンシェルジュの業務支援、収集データ分析による満足度の高い観光動線の提案の3点に繋げ、新たな観光案内サービスの実現を目指すという。
また、かざして案内やチャットボットなど、AIを始めとするICTを利用したソリューションの実用化に向けて取り組み、インバウンドや交通業界をとりまく社会課題の解決に貢献するとしている。