日本機械学会が、歴史的、文化的に意義がある「機械遺産」として、熊本市の新聞博物館にある現存最古の新聞用活字鋳造機や日本工業大学が所蔵する歴史的工作機械群、旭サナックが保存するエアレス塗装機、日本電気硝子が保存するブラウン管ガラス製造装置の計4件を新たに選んだ。同学会が25日発表した。機械遺産は、国内に現存する貴重な機械類を対象に2007年から毎年何件かずつ認定されており、合計94件となった。
新たに機械遺産に認定された新聞用活字鋳造機は1934年製で1982年まで使われた。熊本日日新聞社(本社・熊本市)が同市内で運営する日本初の新聞博物館(1987年開設)に展示されている。新聞の印刷は、1980年代までは活字を集めて植字・製版し、版にインクを塗って印刷していたが、いったん使った活字は溶かして鋳造し直していた。新聞製作には毎日膨大な種類と量の活字が必要だったため、当時効率的な活字鋳造機が待たれていた。今回選ばれた活字鋳造機には種々の特許技術が使われて5号(10.5ポイント)活字を1分で90本鋳造できた。
認定された歴史的工作機械群は合計232台。日本工業大学の工業技術博物館(埼玉県南埼玉郡宮代町、1987年開設)が所蔵し、歴史的に意義がある工作機械と認定された。いずれの機械も明治時代中期から昭和50年代に輸入あるいは国内で製造された。
エアレス塗装機は塗料そのものに高圧をかけてスプレーガンから噴射する方式の塗装機。今回認定されたのは国産では初のエアレス塗装機で、1959年製の加熱式スプレーガンと62年製の「コンパクトエアレス」ポンプのセット。ピアノの塗装用などに使われた。旭サナック(愛知県尾張旭市)のショールームに保存展示されている。
また、ブラウン管ガラス製造装置は1977年製で、日本電気硝子の滋賀高月事業場(滋賀県長浜市)に保存展示されている。「遠心鋳造法」から転換した「プレス成形法」と呼ばれる製造技術を導入しており、認定された製造装置は純国産機としてブラウン管の生産性を飛躍的に向上させ、テレビの普及にも貢献した。
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