京セラは7月26日、自社のLED照明に関する技術ブランド「CERAPHIC」を新たに立ち上げ、その第一弾として、アクアリウムLED照明を2018年8月より発売すること、ならびに同ブランドロゴを策定したことを明らかにした。
光の波長をイメージしたブランドロゴ
ブランドロゴは、1つの円を中心に8つの円が取り囲む家紋の九曜星の形から、一番右側に来る円を除いたような8つの円で構成されており、それぞれに赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の7つの光の波長と白色の光の8つの光をイメージしたものだという。
また、円同士は等間隔で並べられているが、これについても、CERAPHICを採用したLEDの配列をモチーフとし、中央の円を囲む7つの円で、頭文字のCを形成したものとする。
紫色LEDとRGB蛍光体で太陽光に近い光を実現
また、CERAPHIC技術そのものは、青色LEDに黄色の蛍光体を活用して白色を実現する一般的な白色LEDとは異なり、紫励起のLEDの光をRGBの蛍光体で色の変換を行うことで、太陽光に近いスペクトルを実現した点に特徴がある。
そのため、一般的な単色LEDのような、波長に偏りがなく、400mn~700nm程度までの幅広い波長をカバーすることができ、これにより、より太陽光に近い光を実現できることから、ありのままの色合いを出すことができる、という点で、産業分野の評価や観光地での自然な色合いの演出といったことに活用されてきた。
アクアリウム市場に参入
今回のアクアリウムLEDの開発背景について同社は、「サンゴを救いたいという思いがあった」と言う点が1つ存在していたことを強調する。
水族館なども含めて、水草などの育成には、従来、水銀灯を活用したメタルハライドランプ(HID)が活用されてきた。しかし、水銀および水銀を使用した製品の製造と輸出入を規制する国際条約である水俣条約の採択以降、水銀灯の生産数が激減。HIDの生産を中止するメーカーも出てきた。一方、そうした動きを受けて、HID代替灯として、LEDが活用されてきたが、光に敏感なサンゴやイソギンチャクの中には、そうした特定波長だけ照射されるLEDでは、生育に適さない、ということも分かるようになってきた。
そこで、研究者らとサンゴが喜ぶやさしい光の実現に向けた研究に着手。例えばサンゴの一種で水深2m付近の浅い海に生息するミドリイシが、実際にどのような太陽からのスペクトルを浴びて成長しているのか、といったことを海中スペクトルメータを開発し、計測。そこから、実際に、従来のLEDの波長とは生育環境が異なること、ならびに、静岡大学との共同研究によるLEDの照射による育成実験などから、サンゴは太陽の光を求めていることなどを突き止めたとする。
こうした知見から、今回は、地上のスペクトルを再現できる「CSL-S50B0000(Natural White)」、水深2.5mのスペクトルを再現できる「CSL-SMBB0000(Marine Blue)」、水深11mのスペクトルを再現できる「CSL-SABB0000(Aqua Blue)」、そして観賞用の深い青色の光を放つ「CSL-SDBB0000(Deep Blue)」の4製品を2018年8月以降に発売を開始することを決定したという。
同社としては、アクアリウムであらゆる深さを表現できると説明するほか、サンゴの研究や飼育に加え、あらゆる海洋生物の飼育・研究に活用できるとみており、2021年度に10億円規模の事業に育てたいと意気込みを語る。
一方で、研究用や家庭用の水槽の規模であれば、今回の製品(いずれも48個のLEDランプを搭載)で対応が可能だが、水族館の大水槽などで活用しようとなると、光量であったり、照明範囲だったりといった性能が不足することとなる。そうしたより商用的なニーズについては、改良型の高出力タイプの開発を進めているとしており、年内にも、そうした製品の提供にこぎつけたいとする。
なお、同照明はオープン価格で、以下に記す関東、近畿、関西の複数のアクアリウムショップで取り扱いを行なう予定としているほか、水族館ならびに研究機関などの法人での利用は、同社への問い合わせをしてもらいたいとしている。
- Coral Lab(東京都江東区)
- 海水魚ショップ ナチュラル(東京都豊島区)
- AQUA LOVERS(千葉県成田市)
- スプラッシュ(神奈川県大和市)
- ASM(Aqua sun marine)(愛知県刈谷市)
- Aqua Tailors本店(大阪府大阪市)