SAPジャパンは7月25日、都内で記者会見を開き、CRMスイート「SAP C/4HANA」を発表し、提供を開始した。

新アプリケーションは、顧客同意に基づいた情報を元にロイヤルティ強化を実現する「SAP Customer Data Cloud」、カスタマージャーニーを捉えた上でOne-to-Oneマーケティングを実現する「SAP Marketing Cloud」、すべてのタッチポイントでパーソナライズショッピングを実現する「SAP Commerce Cloud」、カスタマージャーニー全体にわたり顧客との関係を維持し、営業活動もガイドする「SAP Sales Cloud」、コールセンター機能などを利活用しつつ購入後の顧客体験をサポートする「SAP Service Cloud」の各機能で構成している。

  • 「SAP C/4HANA」の概要

    「SAP C/4HANA」の概要

同社の調査によると、日本の消費者のうち63%はよりよいカスタマーエクスペリエンスを提供する企業と関わりたく、91%は満足しなければ競合から購入し、66%が個人情報管理に不安を抱えているという。

また、消費者がブランド/メーカーと決別する理由は78%が個人情報の再利用、73%がカスタマーサービスに不満、60%が大量の販促メール、49%が納期遅れが2回以上あるとしており、これらの調査結果を背景にSAP C/4HANAを開発した。

このような状況を踏まえ、SAPジャパン SAP Customer Experience ソリューション事業本部 事業本部長の高山勇喜氏は「最良の顧客体験には、デジタルファースト、エンドツーエンドでの顧客との関係、顧客との全接点の管理、在庫管理、個人情報に関する高い信頼性が必須だ」と指摘する。

  • SAPジャパン SAP Customer Experience ソリューション事業本部 事業本部長の高山勇喜氏

    SAPジャパン SAP Customer Experience ソリューション事業本部 事業本部長の高山勇喜氏

  • 最良の顧客体験に必要な5つの要素

    最良の顧客体験に必要な5つの要素

そして、同氏は「新製品は最良の顧客体験を実現するすべてのボトルネックを排除したおもてなしを提供する」と、胸を張る。

新製品は、ERP製品の「SAP S/HANA」と連携し、フロントオフィスソリューションにSAP C/4HANA、バックエンドソリューションにSAP S/4HANAを用いることで境目をなくし、マーケティング業務から配送納品業務までの企業内プロセスの整合性を確保することを可能としており、エンドツーエンドで1つの顧客体験を提供するという。

  • 「SAP S/HANA」との組み合わせで最良の顧客体験を実現するという

    「SAP S/HANA」との組み合わせで最良の顧客体験を実現するという

例えばエンドユーザーは、どのようなチャネルで顧客と接しても一貫した顧客体験を得ることができるほか、マーケティング業務から配送納品業務までの企業内プロセスにおいても不快に感じない顧客体験を得られるとしている。

また、インテリジェントテクノロジー「SAP Leonardo」の機械学習機能と連携することを可能とし、消費者のプロファイル情報と人気商品の傾向を過去データから学習する。これにより、EC上でレコメンド商品を自動的に提案や、過去商談の受注/失注をデータから学習して自動的に販売予測を行うことができるという。

  • 「SAP Leonardo」の機械学習を活用

    「SAP Leonardo」の機械学習を活用

高山氏はSAP C/4HANAについて「各機能はUI『SAP Fiori』で利用でき、信頼性の高いデータをベースに機械学習による潜在欲求を先読みし、他社製品にも接続を可能としている」と、強調した。

ターゲットは、精密機械製造や産業機械製造、部品製造、組立製造、家電製造などの製造業、小売・卸、アパレル、ふっとウェアをはじめとした小売卸売業、通信、公益、保険といったサービス業を想定している。特に海外売上比率が20%以上の企業やデジタルチャネルでの売り上げが10%以上の企業、タッチポイントのチャネルが3つ以上ある企業だという。

同氏は「国・事業部ごとにポイントソリューションを導入している企業が多く、分散して管理すると代理店離れや消費者離れが起きていることから、このような企業の課題を支援していく」と、述べた。