半導体市場調査企業の米IC Insightsは、同社の調査レポート(2018年央更新版)にて、NAND業界の過剰な設備投資が、需要を上回る供給を引き起こし、価格低下をもたらしていると報告している。
Micron Technologyが5月に開催したアナリスト・投資家向け事業説明会で示したNAND業界全体がビット出荷数量を前年比で40%増加させるために必要な設備投資総額は、2015年では90億ドルであったものが、2017年には220億ドルへと増加している。これは、従来の2D NAND(プレーナ)から3D NANDへの移行に伴う製造プロセスの追加や、クリーンルームの増設ないしは新設する必要があるためである。
Micronによれば、5大NANDサプライヤのほとんどは、今後数年間でNANDのビット数量需要が年平均約40%で伸びると予測しているという。IC Insightsの調べによると、2017年の実際のNAND向け設備投資総額は、NANDのビット出荷量を40%増加させるために必要な設備投資を27%超えており、2018年も同41%の超過となる見込みだという。この結果、今年の下半期から2019年にかけても価格の軟化傾向は続くものと同社では見ている。
メモリ市場は、過去、過度の設備投資による生産過剰とそれに伴う価格下落、そしてそれに伴う新たなアプリケーションの登場により、再び供給不足となり、価格が上昇、といったトレンドを繰り返してきた。
なお、大手サプライヤであるSamsung Electronics、SK Hynix、Micron、Intel、東芝/Western Digital(SanDisk)、中XMC/中Yangtze River Storage Technologyは、今後数年にわたって3D NANDの増産を継続的に行っていく予定であり、日本国内でも、東芝が四日市工場の第6製造棟への設備投資や岩手県の新工場の立ち上げを予定しているが、IC Insightsでは、3D NAND市場の需要を超す過剰な設備投資に対するリスクは高まりつつあると警告を発している。