東京急行電鉄は7月13日、東急線各駅の券売機で銀行預金の引き出しができるキャッシュアウト・サービスを、横浜銀行、ゆうちょ銀行、GMO ペイメントゲートウェイ株式会社の協力の下、開発すると発表した。
2019年春の東急線各駅でのサービス提供開始を目標に、2018年度中に、東急線の一部の券売機で横浜銀行とゆうちょ銀行のスマートフォンアプリを活用した実証実験を実施する。
同サービスは、スマートフォンアプリで、事前に引き出し金額の申請を行い、表示されたQRコードを券売機の読み取り機にかざすことで、横浜銀行やゆうちょ銀行など提携金融機関の預金の引き出しを可能にするもの。
同サービスでは、横浜銀行とGMO ペイメントゲートウェイが開発した、銀行口座と連動してスマホアプリから即時に口座引き落としなどができるサービス「銀行Pay」の仕組みを活用する。
「銀行Pay」の基盤システムを活用した、横浜銀行のサービス「はまPay」およびゆうちょ銀行のサービス「ゆうちょPay」(2019年2月提供開始予定)において、東急電鉄の券売機から現金が引き出せるようになる。
サービスの詳細については、プロジェクトリーダーを務める東急電鉄事業開発室プロジェクト推進部イノベーション推進課の八巻善行氏が行った。
同サービスは「社内起業家育成制度」の案件だが、同氏は「券売機のQRコードをもっと有効活用できないかと考えた。また、昨今、キャッシュレス化が進む中、現金が手元にないといざという時に困るという人もいる。そこで、駅で現金を下ろすことができれば、そうした人々に安心感をもたらし、キャッシュレス化の進展に貢献できるのではないかと考えた」と、同サービスを同制度に応募した理由を述べた。
同サービスのおおまかな利用手順はこうだ。まず、スマートフォンアプリで、引き出す現金の金額を入力してQRコードを発行する。そのQRコードを券売機の読み取り機にかざすことで、自身の銀行口座から現金を引き出すことができる。
キャッシュアウト・サービスの利用可能時間、利用限度額、手数料は、実証実験の結果に基づき決定する予定。手数料については、コンビニエンスストアのATMの手数料と同等の金額を想定しているという。
セキュリティの保護として、券売機においては、QRコードに口座情報や個人情報を含まない設計を予定している。引き出し時については、「はまPay」と同様に、本人を確認できる機能を備えているほか、生体認証なども検討していく。
将来の構想としては、東急電鉄以外の沿線での提供、金融機関のATMがない地域への提供などを計画しており、さまざまな地域への課題解決に貢献していく構えだ。
東京急行電鉄 取締役社長の高橋和夫氏は「3年前から、グループ外の企業と組んで、イノベーションに取り組んでいる。キャッシュアウト・サービスは、チケットレスが進む中で、あえて券売機に注目することで、逆転の発想から生まれたユニークなサービス。人々の生活導線上にある駅の利便性を向上させたい」と語った。