宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、IHI、川崎重工業、SUBARU、日立製作所、三菱重工航空エンジン、三菱電機、経済産業省との連携のもと、CO2排出などの環境負荷を抜本的に低減する航空機の電動化技術を開発するとともに、日本の航空産業の飛躍的な拡大に向けて産業界のイニシアチブを醸成することを目的とした「航空機電動化(ECLAIR)コンソーシアム」を7月1日に発足したことを発表した。
近年、航空機のCO2排出削減が世界的に重要な環境課題となりつつあり、電動化による環境負荷の低減が注目を集めている。一方で、ハイブリッド/電気自動車用途として、バッテリやインバータ、モータなど電動要素の性能が飛躍的に向上した。これらの技術は小型の電動航空機(電動機を動力とする航空機)に適用可能なレベルとなっており、海外では既に電動航空機の実用化に向けた開発が進んでいる。
同コンソーシアムでは、JAXA航空技術部門次世代航空イノベーションハブが中核となり、産学官連携のもと、世界に誇る国内の電動要素技術などを航空機技術と糾合するオープンイノベーションの手法によって、抜本的にCO2排出量の削減が可能な「エミッションフリー航空機」の実現と新規産業の創出に向けた活動を行うという。
具体的には、航空機電動化に関する将来ビジョンを策定・共有し、それに基づき技術 開発を行うことにより、国際競争力のある技術の強化を目指すということだ。また、本年12月頃に一般公開型の「航空機電動化オープンフォーラム(仮称)」を開催し、将来ビジョンやコンソーシアムの活動を広く紹介する予定だとしている。
同コンソーシアムに基づく技術開発を"実用化"までつなげるべく、航空機産業政策を担う経済産業省とも密接に連携していくという。経済産業省では、電動化を含む将来有望な技術をテコに将来機における日本企業の競争力を強化していく中で、同コンソーシアムの枠組みを積極的に活用する計画だということだ。