NECは、データセンターにおけるサーバの冷却効率を従来比の2倍にさせる低圧冷媒を用いた圧縮放熱技術を開発したと発表した。

同社が新たに開発した技術は、低圧冷媒を用いて、サーバラックから排出された熱を吸熱し、外気温が高温でも、直接屋外に輸送し放熱できる流路設計技術。

低圧冷媒は、体積流量が大きく、冷媒をスムーズに流す配管設計が非常に難しいとされていたが、NECは今回、低圧冷媒の物理現象を把握し、既存の施設にも敷設しやすい複数本の細い配管(細径銅管)を適用し、長さを変えた流量の調節などにより、冷媒を均一に分配させる流路技術を開発した。これにより、冷媒をサーバルーム内に引き込み、サーバラックからの排気熱がサーバルーム内に拡散する前に吸熱させ、建屋外まで運んで放熱することを可能にしたという。

  • 冷却システムの構成イメージ

熱輸送効率が高い冷媒を循環させることができるため、サーバルーム内で空気を循環させる空調機のファン電力を大幅に削減でき、他の空調機を設置することなく、「相変化冷却システム」だけでデータセンター内のサーバを高効率に冷却することができるため、既存のデータセンターにも、導入しやすいという。

今回、インド南部のデータセンターにおいて、通常のデータセンターのラックより2倍の発熱量となる、7.5kWのラックにて実証を行ったところ、外気温35℃の状況で、既設の空調機と比べて、空調電力を半減させ、実証ラックの総電力量を20%削減できたことを確認したという。

今後、NECは2020年度までに製品化を目指す。