高機能繊維・化成品・複合成形材料などのマテリアル事業領域と医薬・在宅医療などのヘルスケア事業領域、そしてIT分野でもビジネスを展開する帝人。2017年から2019年にかけての中期経営計画「ALWAYS EVOLVING」は公式サイトにPDFで纏めてある。
既存の事業の基礎収益力の強化を成長戦略に、マテリアル事業やヘルスケア事業における発展戦略として、グローバル戦略とともに長期ビジョン実現のための柱に据えている。長期ビジョンとは、"帝人は、社員の多様性を活かし、社会が必要とする新たな価値を創造し続け、未来の社会を支える会社になることを目指す"ことだ。何のためにビジネスを行うのか?単純なようで難しいテーマを明快に表すビジョンだ。数多くの社員を持つ企業は得手不得手こそあれ、多様な能力を持つ。これを価値創造、社会支援へと導くことで社会とともに企業を成長させていこうというものだ。
国内初の化学繊維「レーヨン」を創り出した同社の技術力は、高分子化学、ナノテク、バイオ技術、合成技術と化学分野に広範に及ぶもので、それぞれに機能・分子設計、エンジニアリング、シミュレーション、構造解析、検査や生産といった技法がノウハウや資産として構築されている。ここにIT技術群が様々な形で加わることで波及効果は広がっていく。26日には、帝人グループのIT戦略部門を担うインフォコムが、冷蔵機器内に設置したIoTセンサーを活用した衛生管理手法HACCP(ハサップ/Hazard Analysis and Critical Control Point)対応の「食品温度管理IoTサービス」を開始。食品衛生法等の一部を改正する法律(平成30年6月13日公布)など食中毒対策強化のための法令改正にも対応するIoT&クラウドだが、化学にも通ずる分野での厳格な管理手法がサービス化されている。
そんな帝人が28日、帝人グループ健康保険組合と共同でヘルスケアデータに基づく社員の健康維持・増進を図る社内プログラムを開始することを発表した。スマートフォン、タブレットと連動した活動量計、体重体組成計、血圧計をモニタリング用IoT機器として参加希望社員に貸与。データを同社のクラウドに集約し、"独自のIT技術"により未病や健康維持・増進の観点で可視化し、参加者に解析結果をフィードバックするものだ。データによる社員の健康意識やリテラシー向上を図るとともに、AIを活用した将来の生活習慣病リスクの予測、未病状態の把握に資する技術開発に繋げていく構えだ。