ソリトンシステムズは6月26日、建設業界向けに業務効率化とセキュリティ対策に関するセミナーを都内で開催。基調講演では、業界大手3社による社内事例が紹介された。
建設業界で進むICT活用
最初の登壇したのは、大林組 グローバルICT推進室 担当部長の堀内英行氏。同氏は、日本建設業連合会 IT推進部会 先端ICT活用専門部会 主査も務めており、その立場で建設現場で利用できるICTサービスの最新動向を紹介した。
同氏がまず紹介したのは、デジタルサイネージの活用。建設現場でサイネージというのは意外だが、従来、ホワイトボードに記載していた作業予定表を、デジタルサイネージに置き換える動きがあるのだという。
また、朝礼看板として利用したり、気象データと連動した熱中症の注意喚起などにも利用されているという。
また、建築現場でのカメレオンコードを利用した車両管理の導入も進んでいるでいるという。カメレオンコードはカラーコードで、QRコードなどに比べ、遠くからでも認識できるほか、多少動いても認識できるというメリットがあり、システムでは、スマホでカメレオンコードを認識し、同時に車両情報と写真を同時に記録する。最近は自治体の発注案件を中心に、厳格な車両管理が求められるケースが増えているという。
そのほか、セキュリティ面では、現場での入退管理や不審者検知に3D画像解析システムを導入するケースがあり、左右2つのレンズによる3D画像を使うことで、動くものを立体として認識できるほか、影、雨、雪などを検知しないようにすることで、誤検知を防止できるという。
製造業などでも課題となっている高齢化が進む熟練工の技能継承として利用されているのが、AIによる構造物打診アプリの「スマート打診棒」だという。「スマート打診棒」は、コンクリートやタイルの打音検査をサポートするもので、20分程度の正常な検査音を録音することで、AIの学習データ(教師データ)を作成でき、熟練工と同等の精度で判定できるという。
そのほか、建築業界では、VR/MRの利用も進んでおり、VRは研修に、MRは図面の実寸投影で利用。
VRは、実地訓練を要する特殊技術や現場での経験をVRを使って習得。これまでは、模型を作って施工ミスを発見する訓練などが行われていたが、いつまでも同じ問題を利用できないため模型の造り直しなどが発生していたが、VRを使うことで容易に変更できるという。
MRはCADデータを読み込むことで、施工前の現場に施工後の画像を重畳表示。これにより、墨出し工数を1/3にできるほか、完成後の保守作業の軽減にもつながっているという。