半導体業界は2017年、その市場規模がついに4000億ドルを突破したが、そのけん引役の1つとなったのが半導体メモリ市場である。2017年の同市場は、前年比60%超という伸びを見せ、126億ドル規模に達したが、2018年も高い伸びを維持、最終的には同40%増となる1770億ドル規模に到達する見通しであるとの予測を、市場調査会社である仏Yole Développementが発表した。
2017年の半導体メモリ市場は、DRAM、NANDともに年間を通してさまざまな市場からの需要の増大が続く一方で、ウェハの投入枚数がそれほど増えず、かつ微細化にともなう歩留まりの改善に時間がかかったため、供給量の伸びは抑えられた結果、大きく成長した。2018年に入っても、AI(人工知能)・機械学習、モビリティ、コネクティビティのマクロ動向は、半導体メモリ市場が拡大し続けるのに有利な動きを見せているという。
DRAM - ピークは今年、将来は伸び悩みの可能性
DRAM市場は常に進化し、変化し続けており、Yoleでも今後5年の間、ビット需要が年平均で22%増加し続けると見ている。しかし、DRAMの平均販売価格は、2019年以降、下落していくとも見ており、結果としてDRAM市場の規模は、今年がピークとなり、以降は縮小傾向になるとしている。
「中国の新興メモリサプライヤが市場のバランスを崩す可能性がある。また、次世代メモリ技術がDRAMを置き換える可能性も本格化しようとしており、これまでDRAMを牽引してきたPCやスマートフォン市場が、DRAM需要をさらに喚起することはないだろう」と、YoleでDRAMおよびメモリ研究の担当VPを務めるMike Howards氏はコメントしている。
NAND - 価格下落もビット成長が続き市場は拡大
一方のNAND市場も2018年は成長するものの、2019年はフラットとなり、その後、緩やかに拡大するとYoleは見ている。背景には、今後の中国勢のNAND市場への新規参入が、既存のNANDメーカーを脅かす可能性があるためだとしている。
なお、こうした動きについてYoleのNAND担当VPであるWalt Coon氏は、「NANDの需要は、マクロ的には2023年に向けて今後とも上昇が続く。背景には、データセンターのエンタープライズ向けSSDやラップトップPCのSSD搭載率の上昇、モバイルデバイスにおける搭載容量の増加などが挙げられる。これらがNANDのビット成長の中心となるが、AIやVR、車載やIoTなど、さまざまな分野での新たな需要も期待できる」と、将来の需要に対して楽観的な見解を述べている。