クエスト・ソフトウェアは6月22日、新たにソフトウェアベースのバックアッププラットフォーム「QoreStor」を発表したほか、米Quest Software 会長兼CEOのジェフ・ホーン氏が来日し、日本市場における戦略について説明した。

  • 米Quest Software 会長兼CEOのジェフ・ホーン氏

    米Quest Software 会長兼CEOのジェフ・ホーン氏

新プラットフォームは、これまで同社が展開していたDRアプライアンス・シリーズのバックアップ・システムに搭載されていたソフトウェアを独立させている。

特定のハードウェア、ソフトウェアに依存せずに、多様なストレージハードウェア、バックアップソフトウェア、仮想化プラットフォーム、クラウドプロバイダを利用したコスト削減やIT環境を簡素化し、既存のテクノロジーに対するROI(投資収益率)を最大化するという。

アプライアンスが不要なソフトウェアベースのバックアップ・プラットフォームであるQoreStorを導入することで、企業はバックアップのパフォーマンスを向上させ、ストレージ要件およびコストを低減させ、データのアーカイブ、ディザスタリカバリ(DR)、事業継続のために、安全かつ迅速にデータの複製を作成するとしている。

新製品に関してホーン氏は「ソフトウェアオンリーのセカンダリストレージのソリューションとなる。メリットは、帯域幅が少なく、重複排除が迅速であり、ストレージの要件は少ないことだ。特に日本のユーザー、パートナーの要望で実現しており、グローバルでも意欲的に販売していく」と、胸を張る。

データ重複除外と圧縮技術により、オンプレミスとクラウド問わずストレージ・コストを削減するほか、プロトコルアクセラレータと重複排除によりバックアップ完了時間を削減するという。

また、変更されたデータのみを送信し、複製に必要な時間を短縮することに加え、FIPS 140-2に準拠し、データ・セキュリティを強化。さらに、NetBackupやBackup ExecなどのOST(Open System Technology)をサポートする製品に対応している。

日本は重要な市場

同社は2012年にデルに買収されたが、2016年下半期に再度独立した企業として再出発した。冒頭、ホーン氏は「現在、世界ではデジタルトランスフォーメーション(DX)、クラウドの拡張、セキュリティの脅威がビジネス上の課題となっている。クラウドの拡張とセキュリティの脅威はDXに紐付いている」との認識を示す。

同社では主に「データベース管理」「データ保護」「ID/アクセス管理」「Microsoftプラットフォーム管理」「エンドポイント管理」の5つのソリューションを揃えている。

  • DXとクラウドの拡張、セキュリティの脅威に対して5つのソリューションで支援するという

    DXとクラウドの拡張、セキュリティの脅威に対して5つのソリューションで支援するという

データベース管理では、複数のデータベース環境において監視・管理・移行・レプリケーションを行う。データ保護は、急増するデータストレージに対処するほか、ID/アクセス管理ではガバナンスやアクセスなどの管理を支援。Microsoftプラットフォーム管理では、Oficce 365の移行・管理・セキュリティやActive Directoryの管理などを提供。エンドポイント管理ではエンドポイントデバイスの拡散管理とセキュリティ確保を行う。

  • つのソリューションの概要

    5つのソリューションの概要

同氏は「これらのソリューションにより、DXに対してはIT管理の簡素化、クラウドの拡張に関してはオンプレミスからクラウドへの移行などを含めたハイブリッド環境の容易な管理、セキュリティの脅威については社内外のセキュリティ脅威からの保護やIDのガバナンス自然災害時の復旧プラン作成といったことを可能にする」と、強調した。

ホーン氏は、日本におけるビジネスについて「APACは7500万米ドルの売り上げとなっており、日本は2割を占める。今後、日本に対し集中的に投資を行い、特にデータ保護に注力していく」と述べた。

国内ではトヨタや鈴木、日本マイクロソフトなどが同社のソリューションを採用し、パートナー企業はリセラーが日立、富士通、NEC、東芝、ディストリビュータはソフトバンク、ネットワールドが名を連ねている。

また、ホーン氏は「シンプルなソリューションで複雑なITの課題を解決するために優れた製品・サービスの提供、シンプルなビジネスが哲学だ。そして、パートナー企業と協力して効率性と有効性が得られるテクノロジーを提供していく。日本市場は重要だ」と、説明していた。