日立製作所(以下、日立)は、産業分野でのモデリングやシミュレーションに広く使われている米マスワークスのMATLAB/Simulinkと、企業活動に必要な業務をサポートする米マイクロソフト社のクラウドビジネスアプリケーションMicrosoft Dynamics 365を、IoTプラットフォーム「Lumada」により連携させる技術を開発したことを発表した。
同技術は、従来分断されていたOTシステムと業務ITシステムの連携を自動化し、OTデータの高度な分析と業務ITシステムを統合したソリューションの開発を容易にすることで、生産性の向上を図り、革新的デジタルソリューションの迅速な提供を実現するもの。
近年、IoT技術の進展に伴い、製造現場などに設置された各種センサーからデータを収集・分析し、生産性の向上や故障率の低減などの課題を解決することが期待されている。こうした中、日立が展開するLumadaでは、データの収集から分析までの手順を迅速化するため、GUIプログラミングツールとして「Node-RED」を採用し、分析手順構築の迅速化を実現してきた。また、Node-RED上でシステム間の接続インターフェースを統合管理する技術「Flow Connection Gateway」を開発し、システム間での処理やデータ連携を容易にした。
そして今回、日立は、Lumadaを活用したデジタルソリューションの展開を加速させるため、マスワークスおよびマイクロソフトと協力し、MATLAB/SimulinkとMicrosoft Dynamics 365をNode-REDにより連携することで、高度なデータ分析と業務管理システムを連携させたソリューションを迅速かつ容易に実現できることを実証した。具体的には、MATLABのデータ分析アルゴリズムのひとつである「摩耗状態推定モデル」をNode-REDから制御し、Dynamics 365 for Field Service上にある業務データ・案件データと組み合わせることで、磨耗による故障予知に基づく保守案件情報の自動登録を可能にした。
日立は今後、分析アルゴリズムや連携可能な業務システムの拡充などをオープンイノベーションで進め、IoT技術による革新的デジタルソリューションの提供に向けた技術開発を進めていく。また、OSSコミュニティと連携し、積極的なコミュニティ貢献を目指していくとしている。