北海道芦別市で2016年に見つかった恐竜の化石はティラノサウルス類の尾椎骨の一部である可能性が高い、と北海道大学などの研究グループが20日発表した。同グループはティラノサウルス類の巨大化解明に重要な成果、としている。
研究グループの主なメンバーは、北海道大学総合博物館の小林快次准教授,同大学院理学院修士課程の鈴木花さん、北海道・三笠市立博物館の加納学館長ら。小林准教授らによると、芦別市に分布する蝦夷(えぞ)層群羽幌川(はぼろがわ)層からサメの仲間や二枚貝の化石が多く見つかっている砂岩層がある。これは8980万~8630万年前の白亜紀後期コニアシアンの地層。
小林准教授らは、アマチュアの化石愛好家の小川英敏氏が2016 年にこの地層から発見した化石について、外部形態のほかCTスキャンなどによる内部構造などを詳しく分析した。その結果、この化石は全長6メートルほどの中型ティラノサウルス類の尾椎骨(尻尾の骨)の一部とみられることが分かった。白亜紀後期コニアシアンの地層からティラノサウルス類の化石が出土する例は世界的にも限られており、国内では福島県内での発見に続き2例目という。
ティラノサウルス類は全長10メートルを超える大型恐竜として知られるが、巨大化した詳しい経緯などは不明だった。今回、芦別市で見つかった化石が、小型だったティラノサウルス類が巨大化していく空白の時代のものであることが明らかになった。こうした成果について研究グループは、最も有名な恐竜であるティラノサウルス類の巨大化を解明する上で重要な意味を持つ、としている。
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