新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、NEDOプロジェクトにおいて、産業技術総合研究所(産総研)が、廃製品に含まれる金属資源の自動選別システムの試験装置群を導入した集中研究施設「CEDEST」を産総研つくばセンター内に開設したことを発表した。
NEDOは、産総研を中心とする企業・大学・研究機関とともに、小型家電などの廃製品に含まれるレアメタルなどの金属資源の有効活用に向けて、低コストで高効率なリサイクルを可能にする革新的な基盤技術の開発を推進している。
今回、CEDESTに廃製品・廃部品自動選別システム開発を進めるための試験装置群の導入が完了し、自動・自律型リサイクルプラントを構成する装置の開発を本格的に開始する。これにより、今後、従来の手作業による廃製品の解体・選別プロセスの10倍以上の処理速度と、廃部品を分離効率80%以上で選別する性能を実現する。そして、これらを無人で一貫制御する選別システムを確立することで、都市鉱山の有効活用を目指すという。
CEDESTにおいては、「廃製品自動選別技術」と「廃部品自動選別技術」のふたつの主要な技術開発を行い、金属リサイクルの高度化と省人化を目指す。
前者の「廃製品自動選別技術」の開発としては、廃製品の特徴を複数の高解像センサにより検知し、これを製品情報と照合・解析して、製品の種類を自動認識した上で、金属組成に基づいて資源価値別に廃製品を選別するソータ技術を開発する。また、検知した廃製品情報に基づく易解体加工技術、遺伝アルゴリズムを応用した破壊機構最適化技術を開発し、電池やプリント基板などのモジュールを破壊せずに筐体のみを優先破砕する廃製品の筐体解体機を開発する。さらに、各モジュールを種類別に選別するソータ技術の開発も行うとしている。
一方、「廃部品自動選別技術」の開発では、プリント基板から電子素子などの廃部品を、単体分離する技術を開発するほか、単体分離した廃部品の各種選別機内の挙動を精度よく理論予測する技術を構築し回収産物が製錬原料となるよう、部品情報に基づいて選別プロセスや運転条件を最適制御する技術を開発する。さらに、従来固定されていた選別装置ラインを自由に組み替え可能にし、選別装置への部品の搬送順序を自在に変更できる供給システムを開発し、さらなる高度化を目指すという。
そして、最終的には、廃製品から廃部品の自動・自律的な一貫統合選別システムを開発し、まずはスマートフォンやデジタルカメラなどの小型デジタル家電を対象に、リサイクル工場での廃製品製錬原料化における、高度化と省人化を両立する技術の実用化を目指すということだ。