スマートフットウェアを開発するno new folk studio(nnf)、NTTドコモと共同で39Meister事業を運営するハタプロの39Meisterチーム、LPWA関連機器開発を行うグリーンハウスは6月19日、LPWAネットワーク環境を提供するミライトのLoRaWANネットワークを用いて、nnfが開発したシューズ向けのIoT標準モジュール「ORPHE CORE」をLPWAに対応させることで、運動能力や健康状態と密接な関係にある「歩き」や「走り」に関するデータを携帯回線に依存せずに伝送して解析を可能にするIoTモジュールの実験に成功したと発表した。
「ORPHE CORE」とは、対応するシューズに取り付け可能なカートリッジ型のIoTモジュール。センサーやマイコンなどの電子的機能が実装されており、歩行パターンを記録するモジュールやアスリートの運動解析を行うモジュールなど、さまざまなシーンに対応するモジュールを開発することができる。
今回、この「ORPHE CORE」のフォーマットに準拠したLoRaWANモジュールを、39Meisterチームとグリーンハウスが共同で、リーン型開発手法のノウハウを導入して開発。「ORPHE CORE」がLoRaWANに対応することで、スマートフォンなどの携帯電話回線やデータ通信回線を経由せず、歩行や走りに関するデータを直接運動解析システムへと伝送し、データ連携することが可能だという。
今回、豊洲エリアにおいて、開発したモジュールの有用性を確認するための検証を実施。ミライトがLoRaWANネットワークを展開している豊洲地区を選定し、LoRaWAN通信による実用性を確認した。
実験では「ORPHE CORE」を搭載したシューズを履いた歩行者が豊洲地区を周回し、LoRaWAN通信により歩行データを送信。シューズに内蔵されたデバイスにとってシューズ本体や人体、地面が常に通信の障害となる状況の中、豊洲駅を中心として、新豊洲駅から枝川地区までカバーする最長2km程度のエリアで安定したデータ通信を行うことに成功した。
また、シューズ内への通信デバイスの格納においては、筐体の強度や履き心地なども課題だったが、10kmの歩行後でも筐体へのダメージは見られず、着用感についても、歩行者が通常のシューズとの差異を認識することなく歩行できることを確認したという。
今後、nnf、39Meisterチーム、グリーンハウス、ミライトの4社は共同で、ランニング以外にもスポーツ、フィットネス、ヘルスケアといった用途において、運動解析や見守りといった様々な機能と、それらを実現する通信インフラ・サービスを提供していくとしている。
また、これらの機能で取得したデータを蓄積し研究することで、トラッキング機能による位置情報サービスにとどまらず、自治体や保険業での健康データ活用など様々なサービスへ連携させていく。さらに、「ORPHE CORE」のフォーマットに準拠した様々な機能を持つデバイスにより、スマートフットウェアを中心としたコネクテッドな社会を実現することに貢献していくとしている。