キーサイト・テクノロジーは6月18日、PCにUSB接続することで高性能な計測を可能とする新たな製品シリーズ「Streamline」を立ち上げ、その第1弾として3種類の製品ファミリの提供を開始することを明らかにした。
今回、提供されるのは、USBベクトル・ネットワーク・アナライザ(VNA)「P937xA」、USBオシロスコープ「P924xA」、USB IQ信号 任意波形発生器(IQ AWG)「P9336A」となる。これらは、客先に持ち込める計測器として開発されたもので、ベンチトップ型(据え置き型)やPXIシャシー型製品と同じUIで活用することができるほか、GPIBコマンドも従来ソリューションと同様であるため、ベンチトップやPXIで同社製品を扱っていたユーザーは、新たな習熟コストをかける必要なく、活用することが可能だという。
また、性能としても、VNA、オシロともに同社のベンチトップ製品と同程度を実現したという。具体的には、VNAは「E5063A ENA」に匹敵する性能を実現したとのことで、最大周波数26.5GHzを備えたフル2ポートVNAであり、2台つなげて4ポートVNAとして活用することも可能だという。
一方のオシロは、「InfiniiVision 3000シリーズ」と同程度の性能であり、周波数帯域も200MHz/500MHz/1GHzとオーバーラップしているほか、サンプリング速度は5GSps、波形更新速度も100万波形/秒を実現している。
また、オシロとしての機能のみならず、「20MHzの任意波形発生器」、「FRA(周波数応答アナライザ)」、「8桁周波数カウンタ」、「3桁デジタル電圧計」、「プロトコルアナライザ」という合計6種類の機能を1台に内蔵することに成功している。
そしてIQ AWGは、IQ帯域で1GHz超のベースバンド信号生成が可能な任意波形発生器で、3つの差動/シングルエンドのチャンネルを備え、各チャンネルごとにSkew/Gain/Offsetの調整機能などを備え、独自のTrueform波形発生機能を用いることで、16ビット分解能で最大540MHzの帯域幅を提供することが可能であり、従来の任意波形発生器のアドオンといった形での活用が期待されているという。
なお、いずれも外観はほぼ共通で、前後のインタフェースが製品ファミリごとに異なる程度。重量も2kg程度と軽く、持ち運びしやすい作りとなっている。同社では、Streamlineシリーズを展開したことで、高性能なオシロやVNAがベンチトップ、USB、PXIとカスタマのニーズに併せて使い分けてもらえるようになったと説明しており、積極的にターゲット市場である研究開発分野や大学・教育機関、宇宙といった産業などにアプローチを行なっていくとする。
また、メーカー希望小売価格はそれぞれ以下のとおり(いずれも税別)
USBベクトル・ネットワーク・アナライザ(2ポート)
- 「P9370A」(300kHz to 4.5GHz) : 112万9637円
- 「P9371A」(300kHz to 6.5GHz) : 140万2335円
- 「P9372A」(300kHz to 9GHz) : 177万6267円
- 「P9373A」(300kHz to 14GHz) : 235万3135円
- 「P9374A」(300kHz to 20GHz) : 313万6475円
- 「P9375A」(300kHz to 26.5GHz) : 440万9880円
USBオシロスコープ(2ch)
- 「P9241A」(200MHz、5GSps) : 72万4314円
- 「P9242A」(500MHz、5GSps) : 130万3760円
- 「P9423A」(1GHz、5GSps) : 159万4046円
USB IQ AWG
- 「P9336A」(135MHz/16ビット/3ch/2GBメモリ) : 225万6558円
このほか、PC性能としては、Windows 7 SP1以降(64ビット)もしくはWindows 10(64ビット)が稼動する1GHz以上のCPU、4GB以上のDRAM(16GBが推奨)、2.5GB以上の空き容量を有するHDD/SSDを搭載している必要があるほか、1024×768画素以上の解像度を有するモニタを搭載している必要もある。また、もっとも重要なのは、高速なデータ転送レートに対応することが求められるため、Intelチップに直接接続されたUSB 3.0ポートを有していることとなっている。
受注はすでに開始しているが、出荷は2018年夏中を予定しているとのことである。