IDC Japanは6月14日、企業におけるクラウドインフラストラクチャの導入状況や戦略に関する調査結果を発表した。これによると、調査対象となった企業の40%以上がオンプレミス仮想サーバ環境をクラウドサービスへ移行する方針であるほか、約半数がDockerに対する取り組みを行っており、今後の導入拡大に期待できるという。
オンプレミス仮想サーバ環境の動向
同調査は、2018年3月にサーバ仮想化を実施している企業及び組織466社に対して実施した。オンプレミス仮想サーバ環境の今後について、オンプレミス環境で仮想サーバを運用している企業に対し、今後の運用方針について尋ねたところ、オンプレミスでそのまま運用していくと回答した企業が31.1%、オンプレミスでそのまま運用していくがハイパーバイザーは移行すると回答した企業は18.5%となった。
一方、一部の環境をクラウドサービスに移行すると回答した企業は30.0%、ほぼ全部の環境をクラウドサービスに移行すると回答した企業は11.4%となり、クラウドサービスへの移行(いわゆるリフト&シフト)を考えている企業が40%を超えている。
クラウドサービスへ移行する理由として運用負担の削減と回答した企業が70.5%と多く、その理由としてオンプレミスでの仮想サーバ環境の運用負担の高さがクラウドサービスへの移行検討の契機になっているという。そのほかの主な理由としては、ハードウェアコストの削減(49.2%)やセキュリティの強化(32.1%)がある。
OpenStackの導入状況
また、クラウド基盤ソフトウェアであるOpenStackの導入状況について調査したところ、本番環境で使用している企業は11.2%であり、2017年の10.6%からわずかに上昇した。導入構築/テスト/検証段階にある企業は22.3%であり、2017年調査の14.4%から7.9ポイント上昇し、OpenStackの導入が拡大しているという。
特に、IT企業で本番環境で使用している企業が14.6%、導入構築/テスト/検証段階の企業が32.3%となり、およそ半数の企業がOpenStackの導入を進めており、使用しているOpenStackのディストリビューションでは、Red Hat OpenStack Platformが41.7%、VMware Integrated OpenStackが23.7%であり、この2つのディストリビューションの使用率が高くなっている。
OpenStackの主な導入目的としては、クラウド基盤の運用効率化/自動化(30.8%)、クラウド基盤のコスト削減(26.3%)、クラウド基盤の標準化(23.1%)、ハイブリッドクラウドの実現(20.5%)となっている。
Dockerの導入状況
さらに、コンテナプラットフォームソフトウェアであるDockerの導入状況を見ると、本番環境で使用している企業は7.9%、導入構築/テスト/検証段階にある企業は15.0%であり、それぞれ2017年の6.0%と13.1%から上昇した。調査を開始した2015年から見たところ、Dockerの導入を進めている企業は順調に増加している傾向にある。
さらに、Dockerを使用する計画/検討がある企業は13.9%となり、2017年の8.8%から5.1ポイント上昇したほか、情報収集や勉強をしている企業を含めると半数の企業がDockerに対する取り組みを行っており、導入の拡大が想定されるという。
Dockerで生成するコンテナのオーケストレーションにはKubernetesを使用している企業が41.1%であり、デファクトスタンダードになりつつあり、Dockerの主な導入目的はアプリケーションの運用管理効率化(34.6%)、アプリケーションの品質/パフォーマンス向上(29.9%)、インフラコストの削減(26.2%)、アプリケーションのリリーススピード/頻度の向上(23.4%)となった。
Windows Server 2008サポート終了に伴う対応状況
Windows Server 2008のサポートが2020年1月14日に終了することを受け、同OSを使用している企業409社に対しサポート終了に向けた計画について質問したところ、66.0%がWindows Sever 2016/2012への移行を計画していると回答した。
Windows Server以外への移行を計画している企業を見ると、Linux/そのほかのOSへの移行が11.5%、PaaS/SaaSへの移行が7.1%となり、調査を実施した時にはサポート終了まで1年10カ月あったが、すでに84.6%の企業が移行を計画している。
多くの企業がWindows Server 2003のサポート終了の混乱を経験したことで、Windows Server 2008では計画的に対応が進められている状況にあるという。一方、移行は検討しているが具体的な計画はまだ無いと回答した企業は5.9%、サポート終了後も当面使い続けると回答した企業は4.9%、サポート終了は知っていたがまだ何も検討していないと回答した企業は3.9%、サポート終了のことを知らなかったと回答した企業は0.7%にとどまった。